2012年6月30日土曜日

ハリエンジュの巻き枯らし

みなさまこんにちは、よしだです。

 昨日のことになりますが、KSC でハリエンジュの巻き枯らしを行いました。この作業は5月15日に図書館北側で行いましたが、今回行ったのはランドルフ記念講堂の南側です。ここにもたくさんのハリエンジュが生育します。
 まずは地上約 1 m から 1.5 m の範囲で幹回りに2本のこぎりを入れ,その間を縦にも切れ目を入れます。


 あとはナタを上手に使って,きれいに樹皮をはがしていきます。きれいにむけると気持ちがいいです(笑)。

 今回は全部で 7 本のハリエンジュの樹皮をむきました。これらのハリエンジュは定期的に観察を行い,巻き枯らしの効果を確かめていきます。

2012年6月28日木曜日

八竜湿地の水質調査

 みなさまこんにちは、よしだです。

 昨日のことになりますが、八竜湿地で定例の水質調査のためのサンプリングを行いました。梅雨らしく一日曇っていたものの幸い雨は降らず、かと言って暑すぎもせず、まさにフィールドワーク日和! 東海丘陵要素植物群が生育する斜面湿地では、植物が順調に育っているようでした。 

 さて、今回は通常の溶存イオン濃度に加えて、植物の栄養源である窒素・リンの分析も行うことにしました。窒素やリンが必要以上に存在すると、いわゆる「富栄養化」になってしまいます。言うまでもなく、八竜湿地でその状態になってしまうのは好ましくありません。そこで名古屋市の環境科学調査センターの西先生にお越しいただき、分析をお願いしました。
 窒素・リンはかなり濃度が低いと予想されることから、より正確に分析するため、表面水は1地点1 L ずつ、少量の水しか得られない地下水は200 ml ずつのサンプリングとなりました。それぞれ10 ヶ所ほどありますから、サンプルを持って帰るだけでも大変ですね。
 このように湿地の保全は、多くの人が関わって、それぞれの得意とする知識や技能を持ち寄りながら、地道な活動を続けていくことで成り立っているのです。

 最後に、湿地周辺で咲いていた花を紹介します。白い大きな花、クチナシの花です。甘い香りを漂わせていました。これが黄色の色づけに使われるクチナシの実に変化していきます。

2012年6月27日水曜日

白いきのこ

 みなさまこんにちは、よしだです。

 おとといのことになりますが、大学の本部棟脇に白い球状のきのこがまとまって生えていました。ちょうど通学路の横ですから、気付かれた方も多いことでしょう。 
  あまり見かけないきのこですね。しかしきのこの同定は難しくて、私も時間のある時に調べてみたのですが、正直よくわかりません。一番近そうなのは「シロオニタケ」でしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%BF%E3%82%B1
↑ ウィッキペディアですが… 
 写真には写っていませんが、生えていたきのこのすぐ横には大きなクスノキが生えています。3個まとまって生えていた場所と、ちょうどクスノキの幹を中心に反対側にも1個生えていました。ということはおそらく、このクスノキの根に感染して共生関係をもつ「菌根菌」の一種では?と予想できます。土の中に広く菌体があり、水やミネラルを吸収して樹木(この場合はクスノキ)に与え、クスノキはその見返りとして自分が光合成で作った同化産物を菌に与えるのです。

 人間の目からすると、きのこはよく目立つので、これが生きものの本体のように思ってしまいがちです。しかし菌にとってきのこは、自分の子孫である胞子を地上でばらまくためのものに過ぎません。見えない地下にこそその本体があり、樹木と菌の間でお互いに利益をもたらす「相利共生」が行われているのです。

2012年6月25日月曜日

「いまさら」の金環日食

みなさまこんにちは、よしだです。

 金環日食から早いもので一ヶ月以上も経ってしまい、「いまさら」ではありますが、金環日食を撮った写真の現像ができました。
 太陽が欠けていく様子を5分おきに撮って、連続写真にしてみたのですが、その出来栄えは…はっきり言ってダメダメ(苦笑)。お見せするのもどうかと思う失敗写真ですが、恥をしのんで公開です。


 これはシノゴと呼ばれるフィルム規格(サイズ)で、拡大した時の大きさがほぼ原寸大です(写真をクリックしてください)。写真のフィルムをデジカメで撮ってお見せするのも変な話ですが。

 それはともかく、まず目につくのは太陽がまっすぐ並んでないこと。途中でカメラの向きがずれてしまったことがわかります。また、途中で雲がかかってしまい、その間撮影できなかったのは仕方がないにしても、太陽が等間隔になっていませんね。5分おきに撮った”つもり”なのですが…。

 でも、金環日食自体はちゃんと捉えられていますし(上から3番目の太陽です)、ランドルフ記念講堂と木々がシルエットになって、金城の里山らしさも表現できたので、まぁこれでよしとしましょう。

2012年6月24日日曜日

ヒメボタルの産卵

みなさまこんにちは,よしだです。

 金城のヒメボタルのシーズンは終わってしまいましたが,今回は名古屋城外堀でヒメボタルの保全活動をされている安田さんが飼育されているヒメボタルの写真をご覧いただきましょう。

 上の写真は,さなぎから成虫に羽化して間もないヒメボタルです(しま模様でハチのようにも見えますが)。金城での生息調査で見つかった幼虫から育ったメスです。羽化したのは618日だったそうで,ちょっと遅めの羽化ですね。

 下の写真は名古屋城の個体(メス)が産卵している様子です。やや黄色が強いですが,卵はまるで真珠のよう。それにしても,この体のサイズで,この大きさの卵をこれだけの数産むのは驚きです。メスのお腹の中には,卵しか入っていないのではないかとさえ思ってしまうほどです。
  メスは産卵を終えるとその一生を終えます。生物の懸命な姿に心打たれます。一枚の写真からそんなことをみなさんに感じていただきたく,今回安田さんのご了解を得て写真を使わせていただきました。ありがとうございました。

2012年6月20日水曜日

台風が過ぎて

みなさまこんにちは、よしだです。
 昨晩は台風4号がこの地域を通過していきました。けさは風もなく雨も上がり、私の部屋からは東の猿投山から西の名古屋駅高層ビル群まで見渡すことができますが、上空は梅雨らしくまだ厚い雲が覆っています。

 大学の中は、台風の風で落ちた葉や枝がたくさん落ちていました。でもよく見ると、そのほとんどがアベマキの枝であることがわかります。おそらく枝の強度の関係なのでしょう、アベマキは風で枝が折れやすい性質があります。
↑ あちこちにアベマキの枝が落ちています

 道の傍らではカタツムリも見つけました。
 雨が降って動きが活発になったのでしょうか。しばらくカタツムリにとって過ごしやすい時期が続きそうですね。

2012年6月18日月曜日

ヒキガエル

みなさまこんにちは、よしだです。
 名古屋も梅雨の季節となりました。とはいえ毎日曇りがちではあるものの、今のところ雨が続くようなことはありません。

 さて、今朝大学構内でカエルを見つけました。20 cm 近くありそうな大きなカエルで、遠くからでも何かいると分かるくらいだったので、大きい=ウシガエルなのかと思いましたが、イボイボがたくさんあって白と黒の模様がついているので、アズマヒキガエルのようです(私は詳しくないので間違っていたらご指摘を…)。

 ↑ 何だかとてもいかつい顔です...

 大学周辺のため池では外来種のウシガエルが勢力を伸ばしており、大学内のこのカエルのいた場所の近くの池でも、最近ヒキガエルを見なくなったという話を聞いているので、ヒキガエルが構内で見つかったのはうれしいことです。

 しかしここ、第三駐車場からW10号館方面へ通じる細い道の真ん中です。車はほとんど通りませんが、徒歩や自転車での通行はそれなりにありますし、ネコもよく見かけます。最初置物では?と思うくらい動きが鈍かったのですが、ちゃんと森の中に帰ることができたのでしょうか?

2012年6月11日月曜日

お客さまがお越しになりました

 みなさまこんにちは、よしだです。

 先週のことになりますが、8日金曜日に瀬戸市にある東京大学生態水文学研究所の田中先生が金城におみえになりました。これは、511日に研究所で行われた研究集会で所内の見学や私が発表をさせていただいたご縁で、こんどは金城の湿地や自然林を見ていただくことになったのです。

 ところでみなさんは、愛知県内の大学で東大が最も広い面積を持っていることをご存知ですか? 1250 ha 以上だそうですから、何と金城の50倍以上(!!!)。 行われている研究のスケール感の違いを感じてしまいます。

 しかし、小さいとはいえ金城には金城なりの良さがあります。それは、生態系の多様性と言っていいでしょう。わずかな面積ずつですが、八竜湿地のような開放的な湿地もあれば、学内には木々で覆われた閉鎖的な湿地もあます。自然林はコナラよりもアベマキが中心で、クヌギがほとんどありませんが、これも瀬戸あたりの構成と異なります。自然林だけでなく(あまり好ましいとは言えませんが)竹林やクズ原といった植生も見られます。学内でこれほどいろいろな環境が見られる大学はそうそうあるものではありません。また、大学に炭焼き窯があるのもかなり珍しい事例です。そんな金城の自然や取組みをご紹介できたのでは、と思っています。
 
八竜湿地ではちょうどトウカイコモウセンゴケが赤い花を咲かせていました

湿地性の環境を好むヒメタイコウチも見つかりました

なぜ金城はアベマキが優占するのでしょうか?


2012年6月6日水曜日

ホタルの生息調査

 みなさまこんにちは、よしだです。

 先日金城ではヒメボタルの観察会が行われたところですが、観察した区域以外にもホタルがいるようだとの情報があり、昨晩様子を見に行くことにしました。

 ヒメボタルは夜遅く光り始める習性があるので、集合したのは23時。これでも少し早過ぎるくらいでしたが、かすかに月明かりが射しこむうっそうとした森の中の道を進んでいくと、ホタルがあちこちで光を放っていました。しかも、森の開けたところにも樹木が密生しているところにも… 目が慣れてくると、暗闇に点滅する白い光が浮かびあがってきます。

↑ 中央と右にホタルがいます
(写真では黄色に見えますが、実際はもっと白く見えます)
 
 時間が経つにつれて光る個体の数も増え、数匹のオスが点滅を同調させながら闇を舞う様子も見られ、しばし見とれてしまいました。

 昨晩の観察でも、これまでの想定よりもかなり広い範囲でヒメボタルが生息していることがわかりました。観察は24時過ぎ頃までで、最も光る時間よりも早いため、確認できたのはこれでもまだ一部に過ぎないでしょう。ホタルが舞う光景がいつまでも続くようにしたいものです。

2012年6月5日火曜日

名城公園のタヌキ

みなさまこんにちは、よしだです。

 本日午後830分過ぎ、帰宅途中の名城公園近くで、タヌキを目撃しました。堀川に架かる橋を走って渡り、草むらに逃げ込む姿を見たのです。猫より一回り大きいくらいでしょうか、しっぽが短く茶色一色であることも確認したので、アライグマ(しっぽが長く縞模様)ではありません。

 タヌキは八竜湿地でも時々自動カメラに写っていたりします。八竜湿地周辺は緑が多く、隠れる場所も多そうですが、検索をしてみたら、名城公園やお隣の名古屋城でタヌキがまれに目撃されているようですね。人工物の多い都市部でも、環境にうまく適応して生活しているのでしょう。

(一瞬のできごとだったので、今回は写真がありません…あしからず)

2012年6月4日月曜日

炭焼き

 みなさまこんにちは、よしだです。

 きょうは大学で炭焼きをしました。いつもどおり午前9時過ぎに準備を始め、10時前には点火です。今回は焼くタケも燃料の薪も充分に乾燥していたからか、薪はよく燃えて順調に温度が上がっていきました。
薪が豪快に燃えてます!

 また、やはり乾燥しているからか煙もいつもより少なかったです。風がないので煙はゆらゆらとランドルフ記念講堂やW10号館方面へ…。
煙に太陽の光が射してちょっと神秘的?

 私は午後実習だったので、午前のみ作業に加わりましたが、その後の温度の上がりも順調だったそうで、煙の色が変わり、温度も600度に至って、16時頃には窯を閉じたとのこと。うまくいってそうです。今日焼いた炭は7月、8月のオープンキャンパスに来ていただいた皆さんにお配りします。

 なお、きょうは炭焼きと同時に、炭焼き小屋の屋根の改修を河村先生にしていただきました。いままで天気が荒れると雨が吹き込むこともありましたが、屋根が延長されたことで改善されることでしょう。
ありがとうございました!

2012年6月3日日曜日

駒ヶ根市のハッチョウトンボ

 みなさまこんにちは、よしだです。

 この週末、私は名古屋を離れて長野県駒ヶ根市に行ってきました。主な目的は、「くらふてぃあ杜の市」という手作り工芸展を見に行くことだったのですが、空いた時間にハッチョウトンボの生息地を見てきました。場所は駒ヶ根市内のアルプス球場のすぐ横です。

 まずは1枚目の写真をご覧ください。ここは人工の地形で、上側の斜面は山を削ってできたものです。ところがその斜面から水が湧き出し、造成地の一部(写真中央部の木道の上側あたり)が湿地状になったことから、ハッチョウトンボがやってきて生息するようになったようです。現在ボランティアの方々が保全活動をされています。
http://www.cek.ne.jp/~haccho-tombow/


 すでにハッチョウトンボが出現していて、盛んに飛んでいました。ハッチョウトンボのオスはなわばりを持っていて、メスが来るのを待ちます。しかし他のオスがやってくると必死に追い出そうとします。そんな様子を身近に観察することができました。
↑ 交尾をしています
赤いのがオス、オスの下の縞模様のがメスです。

 ここには八竜湿地でも見られるモウセンゴケも生育していました。下の写真をよく見てみると、左上の葉に虫が捕まっているのがわかります。
 人工的にできた環境であっても、これらをはじめとする生物は、適地を見つけて繁殖しているのですね。

 ところで、杜の市の会場からは中央アルプスがはっきりしないながらも見えました。写真が小さくて分かりづらいですが、山の中央部の黒い模様が、左を向いた女性の顔に見えませんか? これは「島田娘」と呼ばれる雪形です。
(詳しくはこちら http://www.nagano-tabi.net/modules/enjoy/enjoy_10021005.html
 アルプスには多くの雪形がいい伝えられ、それが現れると田植えなどの農作業を始める目安とされてきました。自然から季節を知るよい例ですね。

2012年6月2日土曜日

ホタルの舞うキャンパス

みなさまこんにちは、よしだです。

 6月になりました。この時期各地でホタルが話題となりますが、金城でも昨晩、近くの小学生のみなさんによるヒメボタルの観察会が行われました。

 私たち金城のスタッフは22時前から現地に待機しました。少し風があり、湿度があまりなく、月が明るくて、ホタルの観察にはあまり条件はよくありません。案の定、この時点ではホタルを見つけることができませんでした。

 23時前、雨池ホタルの会の方々に引率されて、小学生のみなさんが金城にやってきました。親御さんを含めて100人以上(!)でしょうか。ここからは一列に並んでゆっくりと散策路を歩いていきます。しかし…ホタルは見つかりません。「ホタルいなかった」という子供たちの言葉に切ないものを感じてしまいます。

 大集団のほとんどが金城を出たくらいでしょうか、ポツリポツリと目撃情報が出始めました。誘導を終えてまわりをよくよく見てみると…「あっ、いた!」
 白く明確な点滅をする、デジタル的な光が見えるではないですか! 金城のスタッフが散策路を戻りつつ見たところでは、少なくとも10-20匹のホタルを見ることができました。ヒメボタルは夜中に発光のピークがあり、名古屋城でも午前2時頃といいますから、ようやく活動時間になったのかもしれませんね。

 今回観察会を行って、私も初めて金城でホタルを見たのですが、予想外だったのはその分布範囲が広いこと。ひょっとすると学内の他の場所にもホタルがいるのかもしれません。
 夜遅い時間でしたが、白い光の点滅が暗い闇の中を舞う姿に心を奪われました。

*ホタルの光はたいへん繊細で、写真に撮ることができなかったため、残念ながらお見せすることができません。