2012年9月29日土曜日

第三回八竜緑地保全ワークショップと親子自然観察会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうの午前中は八竜緑地の保全ワークショップが,午後は親子自然観察会が開催されました。

 午前の八竜緑地保全ワークショップは,八竜湿地の保全を行っている市民団体「水源の森と八竜湿地を守る会」と行政(名古屋市とその関連団体),そして八竜湿地を所有する金城学院大学の3者で,湿地とその周辺の森林を今後どのように保全をしていくのか検討を重ね,具体的な方向性を作り出す作業です。ワークショップはこれまでに526に第一回が,6月30日に第二回がに行われ,今回が第三回目でこれが最終回です。湿地と森林をいくつものゾーンに分け,それぞれの特徴を生かした保全方法と,全体の保全のテーマを話し合いにより決めることができました。

 午後の親子自然観察会は「iPod touch を使って森を歩こう」というタイトルの通り,国際情報学部の岩崎先生のゼミで開発された「里山touch」という里山案内システムを参加者のみなさんに使ってもらいながら,金城の里山のおもしろさを知っていただこうというイベントです。今回5組の親子が参加しました。
↑ みなさん「里山touch」の説明を読んだり,聞いたりしています
 
↑ 今日は地元の「グリーンシティケーブルテレビ」の取材もありました

 幸い暑くも寒くもない,外を歩くには絶好の天気の下,里山touch の説明だけでなく,虫やドンクリなどを見つけたりして,里山を楽しんでいただけたようです。里山touch は,里山を案内する新しいシステムとして,今回の使っていただいたみなさんのご意見を参考に,さらに改良を進めていきます。

2012年9月28日金曜日

KSC全体会議

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうはKSCの月に一度の全体会議の日でした。今日の議題は,完成した里山パンフレットについて,1013日(土)に行われる国際フォーラムでの対応について,そして10月末の金城祭での出し物についてなどでした。

 今回は参加者が少なめで,金城祭に関しては話が持ち越しとなりましたが,フォーラムについては本番前にもう一度打ち合わせをして内容を詰めることにしました。どんな発表になるのかはお楽しみに!

(写真は文学部の木村さんに撮っていただきました。ありがとうございました)

2012年9月26日水曜日

ぬた場

 みなさまこんにちは,よしだです。
 昼間は夏を思わせる陽気の下,東谷山の湿地に行ってきました。週末降った雨のせいか,ぬかるみの場所が広がっていたのですが,その中に泥の水たまりがありました。長さは 1 m くらい。先月来た時にはありませんでした。


 じつはこれ,動物が体表面についたダニなどを落とすために作ったものです。それを「ぬた場」と言います。何の動物かというと,おそらくはイノシシでしょう。この付近ではよく出没しているそうです。フィールドワークをする者にとっては,あまり会いたくない動物ですが…(苦笑)。

2012年9月25日火曜日

竹炭の袋づめ

 みなさまこんにちは,よしだです。
 夏から秋へ季節が移り変わり,空気が澄んできたのか,今朝は通勤の瀬戸線の車窓から中央アルプス,御岳山,乗鞍岳,白山,伊吹山と名だたる山を見ることができました。

 昨日のことになりますが,先月27日に焼いた竹炭の袋詰め作業をしました。竹炭を 50 g ずつ量りとり,チャック袋に詰めていくというもので,全部で168袋作ることができました。今回用意した竹炭は,1013日(土)の国際フォーラムで配布いたします。

 ところで今回は,生焼けの竹がいつもより多いようでした。普段と同じように焼いたはずなのですが…炭焼きはなかなかむずかしいですね!

2012年9月21日金曜日

親子自然観察会の予行練習

 みなさまこんにちは,よしだです。
 しばらく雨が続いたのち,名古屋は昼間でも涼しさが感じられるようになりました。

 さて,KSCでは岩崎先生のグループで開発した iPod touch による里山案内システムを使って,実際に里山を見て回る自然観察会を来週土曜日 (929日) に予定しています。事前に申し込みされた親子5組のみなさんには, iPod touch 使っていただくだけでなく,学生さんと教員のスタッフも一緒にご案内します。

 それで今日は,実際に iPod touch を使い,スタッフで里山を歩いて予行練習をしてきました。授業や実習などの合間のお昼の短い時間でしたが,画面の説明にある木がどれなのかや,口頭での説明の仕方を確認したりしました。
↑ ここは外来種の説明の場面です

 涼しくなったとはいえ,まだ蚊もたくさんいて困ったものですが,参加してくださるみなさんに里山のおもしろさが伝わればと思います。

2012年9月14日金曜日

八竜湿地の水質調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きのうは水質調査のためのサンプリングで,一日八竜湿地に行っていました。これは,湿地の水質に変化がないかの定期的なモニタリングで,前回6月に行ったのと同様,名古屋市環境科学調査センターの西先生と共同で採水を行いました。

 しかしながら,このところ晴天が続いて雨があまり降っていないことから,湿地は乾き気味になっています。実際,決められたサンプリング地点の3分の1近い地点では水を得ることができませんでした。下の写真の場所も普段は緩やかな流れのあるのですが,昨日は泥しかなく,「採水不能」となってしまいました。 

 湿地は水があってこそのものであり,乾燥すればそこに生育する植物や生息する動物に影響を与えかねません。八竜湿地の水は主に湧き水でまかなわれているのですが,一定の水量を常に確保するためにはどうしたらよいのか,難しい課題です。

2012年9月12日水曜日

八竜湿地の土壌調査

 みなさまこんにちは,よしだです。

 秋の気配が名古屋でも感じられるようになった今日,八竜湿地で土壌堆積物の調査が行われました。調査を主導されたのは金城で地学を担当されている森先生。筒状に採取した土を年代ごとに輪切りにして,そこに含まれている花粉や昆虫の死がいを分析することで,その当時の植生や環境を知ることができるのです。

 今日は予備調査と位置付けて,どこで採取するのがいいか,得られたサンプルは分析できそうなものかどうかなど,現地でいろいろ試しながら検討しました。

左下で森先生がサンプリング中です

 今日の予備調査の結果を踏まえて今後本調査に入り,小野先生,畠山先生,私のほか,学外の先生にも協力をお願いして,八竜湿地の過去を明らかにしていく予定です。

なごや生物多様性セミナー

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日111830分より,天白区のなごや生物多様性センターで「生物多様性セミナー」が開催され,小野先生とともに出席しました。

 今回のテーマは「カスミサンショウウオ」。八竜湿地など県内の湿地に生育している小型のサンショウウオですが,近年数を減らして絶滅が心配されており,どのように対処をしていけばいいのかを考える機会としてこのセミナーは開かれました。
  セミナーには湿地の保全活動をされている方,行政,大学などから30人程が集まり,カスミサンショウウオの生物学的知見,生息状況,保全活動の事例が報告されたのち,総合討論と続きました。特に愛知県内では生息域が分断されたり,密猟や捕食を受けたりして,絶滅リスクが高まっていることが報告されましたが,一方である地域では保全活動の結果生息数が増えているという報告もあり,絶滅を回避する大きなヒントになるのかもしれません。

 カスミサンショウウオの生態が完全には解明されていない中での保全活動は,「手探り」とならざるを得ないのも事実です。21時半過ぎまで続いた今回のセミナーでは,明確な結論は出ませんでしたが,このような議論を続けることで,より良い保全活動の道筋が見えてくると思います。

2012年9月10日月曜日

葉の上の赤い実?

 みなさまこんにちは,よしだです。

 夏から秋に季節が移っていくと,さまざまな木の実を見かけるようになりますね。下の写真は長野県大町市の山中で撮ったものですが,中心の鮮やかな赤い丸いもの,一見この植物の実のように見えます。
 しかし,葉の上に実がなっているのは変ですね。しかもこの葉,ミズナラだと思うのですが,ミズナラはコナラなどと同じく「どんぐり」をつける植物です。どんぐりがれっきとした実ですから,これは実ではない,ということがわかります。

 では何かというと,これは虫こぶといって,虫の幼虫が寄生して,植物(この場合は葉)の中で成長して植物組織を変形させてできたもの。写真の虫こぶはナラハヒラタマルタマバチのもののようです。

 それにしてもなぜこんなにきれいな色をしているのでしょう? 残念ながら私もよく知りません。目立つ色なので鳥が見つけて食べてしまいそうな気がしますが,それでは虫にはメリットが何一つありません。しかし,植物が寄生に対抗して赤く色をつけ,鳥に食べられるよう仕向けているとしたら…?

 実際はどうなのでしょうか?

2012年9月7日金曜日

「巻き枯らし」その後

 みなさまこんにちは,よしだです。

 630日のブログで紹介したハリエンジュの巻き枯らし作業,今回はその後どうなったかをお知らせしましょう。

 巻き枯らしは全部で7本実施したのですが,確認したところそのほとんどは葉が黄化したり,茶色く枯れたり,下の写真のように葉がほとんど落ちてしまったものもありました。巻き枯らしをした時はまだ梅雨でしたが,その後夏の盛りとなり,特に今年は高温と少雨が続いたこともあって,巻き枯らしの効果がはっきりと出たようです。


 ただ,これで木が完全に枯死したわけではありません。幹の明るいところが樹皮を剥いだ部分ですが,その下のあたりから盛んにひこばえがでています。養分・水分の行かなくなった上部はあきらめ,供給のあるところで何とか生きようとしているのです。

 外来種の除去のための手入れですが,生命力の強さには感心せざるを得ません。

2012年9月5日水曜日

アジサイの花の青とアルミニウム

 みなさまこんにちは,よしだです。

 先日のこと,アジサイの花の青さに関与しているアルミニウムを運搬するタンパク質が発見された,というニュースが出ていました。

 植物とアルミニウムの関係をみなさんはご存知ですか? アルミニウムは土壌中に大量に存在する元素ですが,とても安定な状態で存在しているので,植物にとってあまり縁のない存在です。しかし土壌が酸性になると,土の中にアルミニウムが溶け出してしまいます。溶け出したアルミニウムは植物にとって毒で,植物の成長を妨げてしまうのです。

 最近あまり「酸性雨」という言葉を聞かなくなりましたが,なぜ酸性雨は植物に悪影響を与えるのでしょうか? 実は酸性化した雨が植物に直接傷害を引き起こすというよりも,酸性化した雨が土壌を酸性化させてアルミニウムの溶出を促進し,植物に毒性を発現させてしまう作用の方が大きいのです。

 しかし,植物によっては酸性土壌を好むものもあり,アルミニウムへの耐性を持っていると考えられています。アジサイもその一つで,今回の発見は他の植物のアルミニウム耐性メカニズムの解明にも役に立つことでしょう。

 酸性条件と言えば,八竜湿地の湧き水も酸性です。例えば下の写真のトウカイコモウセンゴケも湧き水のある場所に生育していますが,これもアルミニウムの毒性を回避する仕組みを持っているかもしれず,解明が期待されます。

2012年9月3日月曜日

八竜湿地のシラタマホシクサ

 みなさまこんにちは,よしだです。
 9月に入りました。お盆の頃に比べると朝晩いくらか過ごしやすくなり,気のせいか空も少しずつ高くなってきた気がします。

 先日の東谷山の調査でもシラタマホシクサのつぼみが付き始めていましたが,本日見に行った八竜湿地でも,シラタマホシクサの花芽が白くなってまさに「白玉」状態に。遠くから見ても白い天の川のようです。

 しかしこれ,厳密にいえば「花が咲いている」のではありません。ほとんどがまだつぼみの状態です。シラタマホシクサの白玉は小さな花の集合体で,下に花の拡大写真を載せましたが,中央の花の右下あたりがひげのようになっていますね。これが「咲いた」状態なのです。つまりこの白玉はまだ咲き始めたばかり。一つ一つの小さな花が少しずつ咲き始めて,全体が咲くのはもう少し先になります。

 シラタマホシクサが面白いのは,つぼみの状態も,花が咲いた状態もあまり変わらないだけでなく,種をつけてもまだ「白玉状態」が続くこと。湿地の天の川は当分楽しめそうです。