2013年5月31日金曜日

ハッチョウトンボの棲む池

 みなさまこんにちは,よしだです。

 梅雨の晴れ間となった今日,小野先生とともに名古屋市内にある小さな池(すみません,池の名前がわかりません・・・)に行ってきました。ここは雨水の調整池なのでしょうか,周囲に堤防を作って(あるいは土地を掘り下げて)できたと思われる,いかにも人工的に作られた感じのする池です。水量はそれほど多くはなく,水際には湿地状の土地が細長く続いています。
 
  なぜ今回この池に行ったのかというと,これ ( ↓ ) を見たかったからです。
 世界最小クラスのトンボである「ハッチョウトンボ」です。頭から胴体の先までの大きさは10円玉に入るくらい! これでも立派なおとなです。上の写真はメスで,尾をあげているのは暑さをしのぐため,と言われているそうです。 

 下の写真がハッチョウトンボのオスで,こちらは鮮やかな赤色をしています。オスはなわばりをもち,よいなわばり(=メスの産卵に適した場所)をめぐってオスは戦いをします。これらは小野先生が研究テーマとして取り組まれ,大変興味深い結果が示されました。

 ハッチョウトンボは湿地環境に適応したトンボですが,残念ながら八竜湿地では絶滅してしまいました。なぜ絶滅したのかは,まだよくわかっていません。一方でこの池のように,人工的にできた場所でも生息しているところがあります。現存する生息地の環境を観察し,ハッチョウトンボが好む環境とはどのようなものなのか,より詳しく調べていきたいと考えています。
 

2013年5月28日火曜日

乾き気味の八竜湿地

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうはどんよりとした曇り空ですが,名古屋ではこのところずっと雨が降っていません。一番最近雨が降った日というと5月11日の「春の里山撮影会」の日ですから,実に半月間も雨が降っていないことになります。水を雨水と湧水だけに頼る八竜湿地では水量がかなり減ってしまい,下の写真のいつもなら湧水があって地面が湿っている場所も,まるで乾いた小石の山ようになっていました。
 
 湿地の流量も相当少なくなっていると思われたので,今朝水量を測定してみました。画面中央下の三角堰(ササの葉で少し隠れていますが・・・)を超える水にも勢いが全く感じられません。
 
 パソコンの画面には水温や水位がグラフで表示されます。
 ただ,実際の水量は手作業で測るしかなく,例えば 10 秒間流れ出した水をビニール袋で回収し,その量をメスシリンダーで測定するのです。結果は1分間あたり 9.6 L。雨が降って晴れた日が 3-4 日続いた後でも1分あたり 30 L 以上になりますから,今回がいかに少ないかがわかります。

 今日はこの調査が終わった頃,天気予報よりも少し早く雨が降り始めました。もしかしたら今日にも東海地方も梅雨入りになるかも?とのことですが,湿地に恵みの雨がもたらされるでしょうか?
 

2013年5月27日月曜日

モウソウチクの伐倒

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは雲が多く蒸し暑い一日でしたが,私は竹林に行き,モウソウチクを切ってきました。エクステンションプログラム「金城の森の自然観察と炭焼き体験」で,次回竹割りがあるので,その竹の準備です。

 金城のモウソウチク林は炭焼き用の竹を切ったり,たけのこ掘りをしたりしているため,生育密度がかなり抑えられています。しかし,ところどころまとまって生えている場所があり,今回も2本並んで生えているうちの1本を伐倒しました。
中央左の竹を切りました
 
 切り倒した竹は枝葉を落として,竹林の中で約 140 cm の長さに切り揃えます。なぜ 140 cm かと言うと,炭焼き窯の内側の長さが約 70 cm なのでその倍数にしたいのですが,長すぎるとエレベーターなどに入れず運ぶのに苦労するので,必然的にこの数字になるのです。

 それにしても竹林内は蚊がすごくて,虫よけスプレーを忘れた私はやられ放題に・・・(苦笑)。そんな時,たまたま通りかかった河村先生が,竹林で私が作業していることに気づき,お手伝いしてくださいました。この時,河村先生が神様のように見えました(笑)。

 切った竹は台車に載せて炭焼小屋まで運びました。下の写真ではあまり大した量には見えませんが,これでも 1.4 m × 8 本 = 11.2 m 分もあります。モウソウチクの先端の数 m 分は切り捨てにしたので,切ったモウソウチクは 15 m くらいあったことになります。
ここから炭焼小屋まで,画面上方の階段を人力で運搬です・・・
 
 モウソウチクはこのように炭焼きの原料として活用していますが,暑い夏を控えて,「竹で流しそうめんをしたい!」というリクエストも! 竹林での蚊との戦いはまだまだ続きそうです(笑)。
 

2013年5月25日土曜日

エクステンションプログラムで炭焼き

 みなさまこんにちは,よしだです。
 
 からっとした晴天に恵まれた今日,大学のエクステンションプログラムの一つである「金城の森の自然観察と炭焼き体験」が開催され,実際に炭焼きを行いました。私も河村先生とともに講師を務めました。
 
 エクステンションプログラムに炭焼きが加わったのはこれが初めてで,新しい試みとして受講生のみなさんに「炭にしてみたいもの」を持ってきていただきました。いつものモウソウチクやマダケとともに,ご持参の木の実や枝なども窯に入れてふたをし,砂を盛っていよいよ火入れです。 
 今回は薪不足が心配だったので, 河村先生のご自宅で発生したカイヅカイブキの薪を持ってきていただきました。これがのちに威力を発揮するのですが・・・
 
 薪に火が入ると,いつものように白いもうもうとした煙が立ち込めてきます。下の写真の時は何ともないですが,煙がやってくると受講生のみなさんは小屋の外まで避難されていました。
 しかし,煙に巻かれたのは30分ほど。これまでにない短さです。みなさん熱心にうちわであおいでいたのと,カイヅカイブキの薪は油を多く含むため燃えやすく,温度が早く上昇したのでしょう。
 
 エクステンションプログラム自体は10:00~11:30の予定だったのですが,受講生のみなさんは大変ご熱心で,大半の方は夕方までひきつづき見学をされました。お昼休み中にはスーパーにサツマイモをみなさんで買いに行かれ,焼いもです!
私も一本頂いてしまいました(ごちそうさまでした!)
 
  いつもよりも所要時間が一時間も短く窯閉じを行いました。これで自然消火を待ち,来週土曜日に窯開きを行います。炭の芸術作品ができているのでしょうか? 来週が楽しみです!
 

2013年5月24日金曜日

鈴鹿・四日市の湿地でサンプリング

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日も暑いですね。この夏のような青空のもと,私は三重県鈴鹿市・四日市市にある湿地へ水質調査用の水のサンプリングに行ってきました。

 湿地はもう夏草が生い茂り,緑一色になっていました。この湿地では左下の側溝を使ってポンプで汲み上げた地下水を湿地に広く流すようにしているのですが,このところずっと晴天が続いているせいか湿地はかなり乾いていました。
 
 湿地周辺に生えている樹木を観察してみると,こんなおとなしい感じの花が咲いていました。ゴンズイです。クロハゼという名前もあるようですが,「ゴンズイ」の名前の由来は,幹が折れやすいゆえに「役立たず」なのだとか・・・。
 
 一方でこんな変わった形の花も咲いていました。スイカズラです。まるで真っ白な軍手の親指だけ下に向けたような花びらです。雄しべも雌しべも前面にかなり押し出してますね!

 鈴鹿市・四日市市の湿地のサンプリングは7月まで続ける予定ですが,今度はどんな花が見られるでしょうか?
 

お客さまがいらっしゃいました

 みなさまこんにちは,よしだです。

 日付の上では昨日23日のことになりますが,金城の森に名城大学都市情報学部の小池先生がお越しになりました。岐阜県可児市にあるこの学部は,キャンパス内に広い森を有し,小池先生は「里山学」という講義もされているそうです。それで里山保全を行っている近隣大学の事例見学の一環として,今回金城に来られました。金城からは,今や里山保全で知らない人はいないと言っても過言でない小野先生が応対され,たいへん僭越ながら私も同席をさせていただきました。

 小池先生は可児キャンパスの里山保全を一人で担当されているそうですが,小野先生も「私も実質一人でやっていますから・・・」と,里山保全でそれぞれの大学のトップに立つ両先生とも,たいへんご苦労をされているお話が印象的でした。

 30分程お話があったのち,里山見学に出ました。
 今回はランドルフ記念講堂を周回する散策路から炭焼小屋,薬草園を経由して西側の散策路を廻り,体育館横から八竜緑地・八竜湿地を見学していただきました。 自然林の里山化,生物調査,モウソウチクの伐採と竹炭作り,八竜湿地の保全といった金城の取り組みの説明が小野先生からされました。
 今回の小池先生の見学をきっかけに,里山を通した交流が進むといいですね!

 ところで自然林や八竜湿地では,何種類かの樹木の花を見ることができましたので,いくつか紹介します。
 スズランのような花を咲かせているのは,幹がねじれていることから名前がついた「ネジキ」です。この付近の森では普通に見られる樹木です。

 八竜湿地周辺で一番目立っていたのがクロミノニシゴリの花です。ふわふわとした繊細な花ですね。今月上旬に咲いていたルリミノニシゴリ(別名サワフタギ)とよく似ていますが,クロミノニシゴリは東海地方に分布の中心があり,「東海丘陵要素植物群」の一つに数えられる希少種です。

 ところで,おととい22日には名古屋工業大学の増田先生が八竜湿地の見学に来られたのですが,いま咲いている下の樹木が「ガマズミ」で,4月頃に咲いていたこれと似た植物は「コバノガマズミ」であるとご教示いただきました。4月12日のブログで紹介した花も正しくは「コバノガマズミ」ということになります。失礼しました。

 最後におまけです。小野先生が見つけたカミキリムシの一種「ラミーカミキリ」です。外来種だそうですが,それはともかく模様が人の顔(体)に見えませんか???
「人面カミキリ」ですね!
 

2013年5月22日水曜日

金城の森にキツネ現る!

 みなさまこんにちは,よしだです。

 大ニュースです!!! タイトルの通り金城の森にキツネが現れました! 場所はW6号館近くの森の中です。KSC代表の小野先生が,なごや生物多様性センターの野呂先生のご協力のもと,ゼミ生の卒業論文の一環として自動カメラを設置したところ撮影に成功しました。

 最初に撮られたのは4月23日の午前0時すぎのことでした。
 この写真がそうなのですが,犬のようにも見えますね。体形からほぼキツネだと思われたものの,キツネに特徴的なしっぽが写っていないので決め手に欠ける状態でした。

 その後5月1日にも撮影され,8日に撮影された写真では・・・
胴体と同じくらいある長いしっぽがしっかりと捉えられ,間違いなくキツネと判断されました。夜行性のキツネが野外でこんなにきれいに写っている写真はなかなかありません。

 小野先生によれば,キツネは10年前に学内で目撃されて以来ずっと姿を見なかったそうです。ひょっとすると最近また分布を広げているのでしょうか。肉食傾向の強いキツネがここで生息できるのも,ノネズミやモグラをえさにできるからなのかもしれません。それだけ金城の森が豊かであると言っていいでしょう。

 さらに5月18日の午前4時半頃にもキツネが撮影されたのですが,同じ夜の午前2時半頃にはこんな動物も写っていました。
 ちょっと写りが小さいですが,タヌキです。タヌキはこれまで八竜湿地に設置された自動カメラに何度も写っているので,この付近に生育していることはわかっていましたが,金城の森の中で生育しているのが確認されたのは,最近ではこれが初めてではないかと思います。

 もっとも,撮影されたのは在来種だけではありません。こちらは外来種のハクビシンです。まだ撮影されていませんが,分布拡大が懸念されているアライグマもやがてカメラに捕らえられるかもしれませんね。
 ところで,名古屋市ではキツネは絶滅危惧IA類,すなわち「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」に,タヌキは準絶滅危惧,すなわち「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種」に分類されています。それだけに今回の撮影は大発見と言えそうです。

 名古屋市内ではキツネの目撃情報が少ないこともあり,今回の撮影はなごや生物多様性センターのホームページや,ニュースレターでも紹介される予定です。ぜひこちらもご覧ください。

なごや生物多様性センター
http://www.kankyo-net.city.nagoya.jp/biodiversity/

 

2013年5月21日火曜日

育つコゲラと文四郎池のカルガモ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 金城の森でコゲラの子が育っていることはこれまでこのブログでも紹介してきましたが,10日ほど前に見たときは巣穴に誰もいない様子だったので,もう巣立ってしまったものと思っていました。ところが今日巣穴を見てみると,またヒナが顔を出していました。

 前回見たヒナは毛並みもそろって巣立ち間近なように見えましたが,今日見たヒナはまだ産毛が多く,巣穴から顔を出したりひっこめたりして外の様子に慣れていない感じでした。前回の子とは別の親がこの巣を利用して子育てを始めたのかもしれませんね。
外が気になるけどまだこわい・・・って感じでしょうか?
 
 一方,文四郎池を見てみるとカルガモがやってきていました。八竜湿地の下流にある新池ではほぼ毎回見かけるカルガモですが,私が文四郎池で見たのはこれが初めてです。
のんびりしてます
 
 文四郎池では6月に生き物調査を予定していて,その後秋から冬にかけて,できれば一度水を抜いて池干しを行い,外来種や移入種の除去をしたいと考えています。小さな池ですが,在来種が観察できる生物相の豊かな池になればと思っています。

2013年5月20日月曜日

竹林でごみ拾い

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日から降り始めた雨が上がった今日,KSCメンバーで学内のごみ拾いを行いました。場所は先月26日にKSCでタケノコ掘りをしたモウソウチクの竹林です。朝8:30と早い時間の集合でしたが,学生さん4名,教職員4名が集まりました。まずは里山をきれいにする意気込みをパチリ(笑)。

 急な斜面の竹林に入ってごみを拾っていきます。一見するときれいな竹林ですが,よく見ると所々にビンや缶が…私は斜面を下りた公道側を見て回ったのですが,空きビンをいくつも見つけました。

 1限に授業のある学生さんもいるので,ごみ拾いは30分程で終了しました。それでもこれだけのごみが集まりました。

 1限の時間が空いているメンバーで拾ったごみを分別し,今日のごみ拾いを終えました。

 KSCでは,金城の自然林で常緑樹を切ったりするなどの整備だけでなく,自然林の清掃も今後引き続いて行い,美しい里山づくりをめざしていきます!
 

2013年5月17日金曜日

KSC全体会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 
 きょうはKSCで月に一度行っている全体会を開催しました。まずは新しく会員になった学生さん,先生へ,仲間入りのしるしに「KSCポロシャツ」をお渡ししました。かわいいポロシャツと好評です!
 
 今日の連絡事項は,自然林のごみ拾い・炭焼き・ホタル観察・文四郎池の生きもの調査の予定などでした。そして・・・
 
小野先生がみなさんに何か説明していますが,最近金城の里山で "大スクープ?!" と言える事実が発覚したのです! それは来週あたりにこのブログで紹介できることでしょう。ご期待ください!!!
 

2013年5月16日木曜日

島田湿地を見学しました

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうも夏の暑さを感じる陽気でしたね。そんな中,これまで「八竜緑地保全ワークショップ」でお世話になった浜島先生や名古屋市,名古屋市みどりの協会の方々と共に,島田湿地を見学しました。

 島田湿地は天白区にあり,八竜湿地と共に名古屋市に残る数少ない湿地の一つです。もともとは里山の中にある広い湿地だったそうですが,ここ20年くらいで急激に開発が進み,今や区画整理された住宅地の中に,かろうじて取り残された緑地の中の小さな湿地になってしまいました。
 緑地の中はこんな感じです。一見緑に覆われた自然あふれる風景に見えますが,中央奥の森のすぐ向こうにはマンションがあり,私の背後は子供たちが遊びまわるグランドです。 
 今回は普段立入ができない保全区域も入らせていただきました。ため池の名残りの池があり,周囲はコナラやソヨゴが中心の森になっています。 

 池の周囲に湧水箇所があり,そこにはモウセンゴケやトウカイコモウセンゴケ,シラタマホシクサなどが生育していました。すぐ横にマンションが建っているのに,水が湧き出るとは驚きです。
草のあるところより下で水が湧き出ています

 ところで今回島田湿地を見学させていただいたのには理由があります。先に書いた「八竜緑地保全ワークショップ」と同様のワークショップが島田湿地についても行われることになり,私もこれまで八竜湿地の水質を調査してきたことから,島田湿地についてもワークショップへの参加依頼を名古屋市から受けたのです。ワークショップは6月以降年内に3回開催されることになっており,今回はそれに向けての現地の現状把握だったのです。

 私がそのような役を仰せつかるなんて・・・と若干の不安もありますが,貴重な自然が残されるために,私が少しでもお役に立てられればと思っています。
 

2013年5月14日火曜日

可憐なトウカイコモウセンゴケの花

 みなさまこんにちは,よしだです。

 夏の暑さとなった今日,薬学部の先生とそのセミナー生のみなさんを八竜湿地にご案内しました。汗ばむような陽気でしたが,日陰に入れば過ごしやすく,近くにありながらなかなか行く機会のない八竜の湿地や森でさまざまな生き物を見ていただきました。

 モチツツジやズミ,ハルリンドウはそろそろ花の季節が終わりそうでしたが,いま花の旬を迎えているのが食虫植物のトウカイコモウセンゴケです。八竜湿地の斜面湿地に多く生育し,虫を捕らえるための粘液をつけた葉がやや不気味な感じさえありますが,花は実に可憐ですね。
花の接写です。
土曜日の「春の里山撮影会」の成果は出ているでしょうか?(笑)
 

2013年5月13日月曜日

花を咲かせるシイ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 急に夏のような暑さになり,木陰の涼しさがありがたいですね。その金城の森を見上げてみると,黄緑色の木が目につくことでしょう。
 W10号館横からランドルフ記念講堂を撮った写真です。カリヨンの手前の木がそれです。これはシイの木で,木全体に花を咲かせているのでこのように黄緑色に見えるのです。

 シイの木は金城の森に多く生育しています。学生のみなさんにはおなじみのシャロンの橋の本部棟側から見ると何本ものシイの木があることがわかりますね。
 金城の森では里山化を進めていて,シイやアラカシなどの常緑樹を伐採して,落葉樹のアベマキやコナラの森を作ろうとしています。しかし,すべてのシイやカシ類を切るわけではありません。
 もし植生の遷移に人間が手をつけないでおくと,シイやカシ類が最後に現れ,これらの樹木で森が永続的に構成されます。すなわちシイは,この地域の極相の樹種の一つであり,金城では里山の森だけでなく,成熟した森も観察できるようにしたいと私たちは考えています。
  

2013年5月11日土曜日

「春の里山撮影会」を開催しました

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日は久しぶりの雨,しかもまとまった雨となってしまいましたが,一般の方向けの環境学習会の一環として「春の里山撮影会」を開催しました。木々の新芽や花の写真を撮りながら,植物の名前や森の成り立ちなどについて学んでいただくイベントです。今回は17名の方に参加していただきました。

 最初にKSC代表の小野先生からごあいさつです。
 
 続いて今回講師をしていただく永井抱陽写真館の永井秀和さんから,写真の撮り方についてレクチャーしていただきました。
 
 実際に植物などの写真を撮りに外に出かけたのですが,雨がしっかりと降っているので,予定していた八竜湿地に行くのはやめて,ランドルフ記念講堂周辺の森と薬草園で写真を撮ることにしました。
 傘をさしながらの撮影は大変ですが,雨に濡れた新芽や活発に動き始めたカタツムリなど,この天候だからこそ見える世界をカメラに収めました。 

 ここで小野先生の作品をご鑑賞ください!

 昼食をはさんで午後は,撮った写真を1人それぞれ5枚ずつ選んでいただき,プロジェクターに映して永井さんに講評していただきました。
 普段何気なく写真を撮ってしまいがちですが,画面構成の作り方や背景の考え方,光の当たり方に対する注意など,プロだからこそのコメントをいただきました。

 天気は残念でしたが,晴れの天気でない場合に適した写真の撮り方も教えていただき,勉強になった一日でした!
 

2013年5月10日金曜日

尾張東部丘陵自然環境研究者の会

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは瀬戸市にある東京大学生態水文学研究所において,「平成25年度東京大学生態水文学研究所利用者研究集会・尾張東部丘陵自然環境研究者の会」が開催され,金城からは小野先生と私が参加してきました。この会では東大のこの研究所または東部丘陵をフィールドにした幅広い研究が多数発表されました。
(今回はカメラを忘れてしまい,携帯電話による撮影のため写真が不鮮明です。ごめんなさい)
会場の様子です

 小野先生は「金城学院大学・八竜湿地の過去の植生と遷移」というタイトルで,大学周辺の植生が歴史的にどのように変遷してきたのかを文献から明らかにした研究の発表をしました。
他大学の学生さんが熱心に聞いています

 一方私は「周伊勢湾地域の湿地の水質比較」というタイトルで,東部丘陵地域と三重県で行った湿地の水質調査の結果を発表しました。
私のポスターです

 研究発表のあとはテーブルを囲んで懇親会となりました。アルコールを交えての分野の異なる人たちとの研究談義は,同じ分野の研究者とはまた違った面白さがあり,刺激を受けた研究集会となりました。

2013年5月9日木曜日

ズミの花は思い出の花?

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょうは夏のような暑さになりましたね。今日も湿地見学に行ってきたのですが,森の木陰に涼しさを感じました。

 さて昨日のブログで,八竜湿地でズミが咲き始めたと最後に書いたので,今日はその写真をご覧いただきましょう。ズミは別名コナシで,小梨すなわち小さい梨という意味です。山が好きな人ならば,信州上高地の有名な景勝地「河童橋」のすぐ上流側にある「小梨平」という地名を思い出すかもしれませんね。小梨平もコナシ(ズミ)が多く生育する場所です。
 花もまさにナシを思い出させる形・大きさです。でも,白い花びらにピンク色が混じるあたりは,ナシよりもリンゴのようです。 
 ズミ(コナシ)のつぼみも見ていただきましょう。こちらは白ではなくピンク色です。
右下の半分葉に隠れているつぼみを含めて,一つの場所から花が6つ咲くことがわかります。
 以前もこのブログに書きましたが,私の学生時代のアルバイトは「リンゴの花摘み」でした。ズミと同じようにリンゴも6つの花が咲くので,中央1つだけを残して,5つはちぎって落とすのが仕事です。そうしないとりんごがピンポン玉くらいの大きさで止まってしまい,商品にならないのです。ちょうどゴールデンウィークの明けた今の時期がリンゴの花摘みのシーズン。ズミ(コナシ)を見ると,花いっぱいの信州のリンゴ畑を思い出します。
 

2013年5月8日水曜日

モチツツジの花

 みなさまこんにちは,よしだです。

 最近金城の森でツツジの花が咲き始めました。4月初めころに咲いていたコバノミツバツツジと花の色が似ていますが,今咲いているのは「モチツツジ」です。
なぜモチツツジという名前かというと,新芽や花芽に粘液がついていて,触るとべたべたすることから,鳥や虫を捕まえる「とりもち」のような,という意味でモチツツジとなりました。よくよく見てみると・・・
左下に虫がくっついて動けなくなっていますね。食虫植物でもないのにこんな粘着物質を分泌するのは,地上から登ってきた虫を花に行かせないためではないか,とも言われています。そんなモチツツジも,花粉を運んでくれる虫はもちろん大歓迎です。
八竜湿地周辺の森ではいま,モチツツジがたくさん咲いて森に彩りを添えています。他にも八竜の森ではズミやサワフタギなどの花も咲いていますので,ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
 

2013年5月7日火曜日

里山の森に集まる鳥たち (2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きのうに引き続いて,虫を食べに金城の森にやってくる鳥のお話をしましょう。まずはこちらの鳥,葉の茂みの中からこちらを見ていますが・・・
コムクドリです。夏場に本州中部から東北,北海道の比較的涼しい地域で繁殖するのだそうで,名古屋で見られるということは,冬場過ごした東南アジアからの渡りの途中なのでしょう。ちょうど虫がたくさんいる森を見つけて栄養補給と羽休めですね。今回の写真はいずれも4月25日に撮ったものですが,昼間はほぼ一日中見ることができました。
上がコムクドリのメス,下がオスです。
 一方,こちらの鳥は「シメ」です。日本でシメは,夏場に北海道で繁殖し,冬場は本州以南で越冬するそうです。名古屋で越冬していたのか,あるいはほかの地域で越冬していて,たまたま名古屋に立ち寄ったのかはわかりませんが,コムクドリ同様シメもこれから北に向かっていくはずです。
この日は何羽かまとまって見ることができました。くちばしは植物の種を食べるのに適している形ですが,種の少ないこの時期は虫を食べるようです。
 金城の森は,この地域に棲む鳥を育むだけでなく,渡り鳥の大切な中継点でもあったのですね!