2020年12月6日日曜日

太陽柱

  みなさまこんにちは,よしだです。

 きょう12/6は日曜日ですが,薬学部で「共用試験」というのがあって出勤でした。そのためいつもよりかなり早い時間に瀬戸線の列車に乗ったところ,朝焼けの空に太陽柱が出現しているではありませんか! すぐに列車を降りて,見通しの良いところから撮った写真がこちら!

 写真の中央に一筋の光があるのがわかるかと思います。これが太陽柱です。英語ではサン・ピラー,そのまんまですね(笑)。

 この現象,空気中の水分が冷えてできた六角形状の氷が,風がないときに上空で水平に揃って漂うことで起こる現象だそうです。ちょっとめずらしい現象なので,朝早い出勤でもなんだか得をしたような気分に(笑)。朝焼け空だけでも美しいですが,空はこのように,時々思わぬ形で目を楽しませてくれますね。

 



2020年11月20日金曜日

文四郎池にカワセミ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日(11/19)の出勤時,大学の中にある文四郎池の脇を通りかかったところ,池の中の枯れ木にカワセミがいるのを見かけました。その時あいにくカメラを持っていなかったため,すぐに研究室にカメラを取りにいき,撮影したのが下の写真です。



 ズームレンズを使っても充分に届かず,画像をトリミングしているため,カワセミらしいきれいな色が再現できていないイマイチな写真ではありますが,確かにカワセミです。しかも2羽!

 でもちょっと不思議です。カワセミの繁殖期は春から夏にかけてのはずですから,この2羽はメス・オスのペアでも,親子というわけでもなさそうです。きょうだい,でしょうか? そして,水面を見て魚の様子をうかがっている感じがしないのも不思議です。2羽ともまっすぐ前を見ていて,狩りをしにここに来たわけでもなさそうです。では何のために来たのでしょうか?

 少し謎めいていますが,この文四郎池のような小さい池にもカワセミが来てくれたのは嬉しいですね。

 

2020年11月13日金曜日

薬草園にタヌキ出現!

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょう(11/13)の朝,薬学部のながつ先生からタヌキらしい動物を見たという情報をいただきました。写真を見るとまちがいなくタヌキです! 先生によると,朝の出勤時に薬草園に立ち寄ったところ園内にいたのとのことで,ご厚意でその時の写真を提供してくださいました(ありがとうございました!)。

 その写真がこちら!

園内の通路でじっとしています

こちらの様子を見ているようですね

園内を移動したようです

 つい1ヶ月ほど前,私は学内で子だぬきを目撃していますが・・・

https://kinjosatoyama.blogspot.com/2020/10/blog-post_8.html

今回の個体は顔つきや大きさから成獣のように見えるので,別の個体のようです。これまで学内では,疥癬という病気にかかって弱っているタヌキが,明るい時間帯に出てきたことは何度かありました。また,お昼間に学内の森を歩いていたら,健康そうなタヌキが目の前を突然走り去っていったことも,1度だけですがありました。

 がしかし,健康そうなタヌキが,こんな明るい時間に,しかも割とのんびりと?歩き回っている姿が目撃・撮影されたのは,少なくとも私が金城に来て以降,これが初めてではないかと思います。距離はそれなりに取っているとはいえ,人がいる環境に慣れているのかもしれませんね。目撃したながつ先生もびっくりされたそうですが,私もびっくりです! 


2020年11月2日月曜日

上高地散策

 みなさまこんにちは,よしだです。

 名古屋も少しずつ紅葉が始まってきましたが,きれいな紅葉を求めて,私は10/30(金)にお休みをいただき,山岳観光地として有名な信州の上高地に行ってきました。

 始発のバスで上高地に足を踏み入れたのは午前6:30頃。見上げると,山々にちょうど朝日が当たり始めていました。上高地に多く生育するカラマツが紅葉の見ごろを迎えていました。この日は氷点下2度まで冷えたそうで,霜が降りて木々が白く縁どられています。冬の訪れを感じさせる美しい景色が広がっていました。

寒さを忘れる美しい景色です

 今年は各地でクマが出没し,スーパーに立てこもったり,けが人が出るなど,被害のニュースを頻繁に耳にします。この上高地でも今年,人的被害が発生したほか,多数の目撃情報があり,注意が呼びかけられていました。
 
 クマに注意しながら歩き進めていきます。カラマツは日本ではとても珍しい落葉針葉樹で,漢字で書くと落葉松。春の芽吹きの緑も,紅葉のオレンジもあざやかな植物ですね。そして落ちた葉から発せられる香りが何ともさわやかで,私はこの香りが大好きです。

 上高地を流れる梓川にはカワガラスがいました。川に棲む虫や昆虫の幼虫を,川底の石をひっくり返したりして探して食べる鳥です。潜水も,得意で空中から飛び込む様子もよく見られます。
こんなに冷たい川にもぐるなんて!と
人間の感覚ではつい思ってしまいます
 
 こちらはマユミの実をついばむコゲラです。コゲラは金城の森にも生息するキツツキですが,もともとは山に棲む鳥です。キツツキらしく細い枝でも実に器用に動き回り,マユミの実を上手に食べていました。

 植物の枯れた茎から白いものが出ているのを見つけました。その形は松本名物の飴菓子のように見えたのですが,これが何物なのか,さっぱりわかりませんでした。
 帰ってから調べてみたところ,「シモバシラ」という植物だそうです。地上部は枯れていても根は生きているので,枯れた茎にも水が送られ,それが外気で冷やされて氷の結晶となったものとのこと。面白いものを見ることができました。
 
 今回上高地バスターミナルから横尾という地点まで散策しました。このあたりまで行くとそびえる山の表情が変わって偉容がすばらしく,ほれぼれするほどです。
なんてかっこいいんでしょう!

 横尾までというと,往復で約21 kmの散策となります。お散歩というにはちょっと長め(笑)ですが,景色がよく,寒さでちょうどいい感じに体が冷やされるので,気持ちよくどこまでも歩けました。
気持ちのよい散策です
 
 ところが!
 
 徳沢から明神に戻る途中のことです。時間は11:15頃。左の山の斜面から何かが遊歩道に近づいてきました。なんとツキノワグマです! これにはびっくりしました。すぐに後ずさりして十分に距離を取り,クマの動きを注視しました。まだ子グマでしょうか。私や他の観光客の姿はまったく目に入っていない様子で,まっすぐのんびり川原に向って歩き去っていきました。
リアルクマさんの出現です!
\(◎o◎)/ ひょえ~!

 実は私,野生のクマと遭遇したのはこれが2回目。1回目は私が大学院生の時で,南アルプスの「塩見新道」というかなりマイナーなルートを登っていたとき,子グマが木の上で遊んでいるのを目撃しました。今回も子グマで,近くに母グマがいる可能性があるため,クマが去った後も周りを警戒しながら現場を立ち去りました。
 
 明神まで戻ると,平日にもかかわらず観光客でにぎわっていました。ここからは梓川の右岸を歩き,岳沢湿原を見つつ河童橋まで戻りました。
清らかな水です

 今回ツキノワグマには驚きましたが,もともと野生の世界に私たち人間が立ち入っていることを改めて実感しました。とはいえ,この日は終日晴れて,最後まで自然を満喫する気持ちのよい散策ができました。
 

2020年10月26日月曜日

戸田川緑地であいち自然再生カレッジとモニタリング

 みなさまこんにちは,よしだです。

 25日(日曜日),港区の戸田川緑地で,東部丘陵生態系ネットワーク協議会が主催する「あいち自然再生カレッジ」と,生態系のモニタリング調査が行われました。

 今回は尾張北部生態系ネットワーク協議会の会長も務めておられる長谷川明子先生をお招きし,戸田川緑地に森が形成される過程や,そこに生育するどんぐりの見分け方,そして生物多様性・SDGsがなぜ大切なのかについて,歌を交えて楽しくご講演いただきました。参加者のみなさんもノリが良くてよかったです(笑)。

 講演の後は緑地内に出向いて生きものを探すモニタリング調査です。この日は天気が良く,芝生広場にはたくさんの親子が遊んでいました。びっくりしたのは,キャンプ用のテントを立てている人がたくさんいること! 以前ならレジャーシートを敷いて・・・しかなかった気がしますが,これも時代の変化なのでしょうか。

 とここまで,私も裏方のお仕事をしていたので1枚も写真を撮っていなくて恐縮なのですが,モニタリングは長谷川先生を初め,協議会メンバーの先生方などが加わり,植物ゾーンと水生生物ゾーンに分かれて生きもの探しをしました。

植物は増田先生も解説に加わっていただきました

 芝生広場を見ると,種子に鋭い棘があってけがの恐れもある非常に厄介な外来生物,メリケントキンソウが生えていました。「トキンソウ」は吐金草と書くそうですが,名古屋の人なら「ときんときんの種」と覚えた方が理解しやすいかも?(笑)
中央の明るい緑の草がメリケントキンソウです

 昆虫は何種類かのチョウを見ることができました。こちらはツバメシジミです。この写真ではちょっとわかりづらいですが,左下にちょっとした突起があることにちなんで,尾が長い「ツバメ」の名前が付いたそうです。なぜか手乗り(というか指乗り)のままじっと動きませんでした。

 水生生物ゾーンでは,水路の中を網ですくって捕まえた魚やエビ,カエルなどを観察しました。
野崎先生が解説中です

 16時過ぎにすべてのプログラムが無事に終了しました。片付けなどを終えて駐車場に戻ると,西の空の夕焼けがきれいでした。
ちょうど御在所岳付近に日が沈んだようです

 参加してくださったみなさま,ありがとうございました。

 スタッフのみなさま,おつかれさまでした。

2020年10月24日土曜日

狂い咲き

  みなさまこんにちは,よしだです。

 朝晩は少しひんやり感じるようになり,昼間もこの時期らしい気温になってきました。金城の森の木々もわずかに紅葉が始まってきました。

 そんな中,先日小さな花が咲いていることに気がつきました。ソヨゴの花です。

直径5 mmくらいのとても小さな花です

 本来ソヨゴの花は初夏の頃に花を咲かせるので,今の時期の花はいわゆる狂い咲きです。写真を見ると花の状態のまま枯れてしまっているものもあり,ちょっと切ないですね。

 この写真を撮った時にはいませんでしたが,先日初めて気がついた時はミツバチが訪れていました。肌寒い時期の,小さな花のわずか数輪の開花であっても,ミツバチはちゃんと見つけるんですね。感心してしまいます。

 同じソヨゴには実もついていました。今年は不作の年のようで数は少ないです。
熟すのはまだまだ先ですね

 同じ木の中で夏と秋が同居していることになるのですが,植物はこれをどう思うのかしら,などと思ってしまいました。

 

2020年10月20日火曜日

センダイムシクイを救出

  みなさまこんにちは,よしだです。

 少し前まで10月なのに暑さを感じましたが,10月後半に入ったら急に寒くなってきました。気温の変化についていくのがたいへんですね。

 さて今日は鳥の話題です。今朝研究室で仕事をしていたら,同じ薬学部の奥村先生と加藤先生が小さな鳥を手にして来られました。W1棟とW2棟を結ぶ渡り廊下の上でうずくまっていたところを奥村先生が発見し,加藤先生が捕まえたそうです。生きてはいるものの,手の上に乗せられても全く飛ぼうとはせず,体はわずかにしか動きません。

目が半開きの状態でじっとしています

 私は獣医でも何でもないのですが(笑),過去にこのような鳥を学内で何回か見ていたことから,おそらくガラスか何かにぶつかって脳震とうを起こしているのでは?と思いました。しばらくすると,人の動きにびくっと反応するようになったので,少しずつ意識が戻ってきたようです。

 このまま意識が戻れば飛べるようになるはずですので,W1棟の外に出ました。ちょうど居合わせた学生さんもついてきて,めずらしく「手乗り」になっている小鳥を興味深そうに見ていました。 
まるで撮影会です(笑)

 この頃には目もしっかりと開くようになりました。程なくして自力で森の木に飛んでいきました。飛べるようになって嬉しかったです!

 この鳥は最初ウグイスかな?と思いましたが,センダイムシクイですね。金城の森で稀に鳴き声を聞くことはありましたが,近くで見るのは初めてです。思ったよりも小さく,こんなに緑色が濃いのですね~。

 さて,建物にぶつかったであろう鳥をこれまで何度か見た,と上で書きましたが,残念ながらすでに死んでいたということも2回ほどありました。今回は軽傷だったのかもしれませんが,意識を失って動けなくなっていたら,カラスなどに襲われてしまうかもしれません。早い段階で発見・保護されて本当によかったです。とてもさわやかな一日の始まりになりました! 

 

2020年10月13日火曜日

中央アルプスに山登り(その2)

  みなさまこんにちは,よしだです。

 前回に引き続いて,私が9月末に中央アルプスに1泊2日で山登りをした時の話を書きます。今回は2日目の様子です。

おはようございます。この日は午前4:30に山小屋を出発しました。まだ
真っ暗で満天の星空でしたが,午前5時を過ぎると東の空が赤く染まり
始めました。

空木岳山頂の手前で日の出を迎えました。山で見る御来光は,いつ見ても
すがすがしい気持ちになります。ただこの時は風がとても強くて,
じっとしていられないくらい寒かったです。

空木岳から,これから歩く稜線を見渡します。

南駒ヶ岳の手前には,氷河地形の名残であるカールがあるのですが,
その下の端がはげしく崩壊しています。これが中央アルプス最大の崩壊地
「百間ナギ」(ひゃっけんなぎ)です。右に赤い屋根の山小屋が見えますが,
いずれこの小屋も崩壊に巻き込まれそうです。

さらに南に進んで,反対の方角から百間ナギを見てみます。画面左下
あたりに小さく赤い屋根の山小屋があるのですが,どれほど大きく崩壊
しているか,よくわかるのではないでしょうか。

朝が寒かったと書きましたが,実際この通り,霜柱が立っていました。
アルプスでは秋の訪れと一緒に冬もやってきます。

南駒ヶ岳を過ぎると人がぐっと少なくなり,登山道は険しく,わかりにくく
なってきます。上の写真は登山道の進行方向を撮っているのですが,
うっかりすると道に迷ってしまうかもしれません

仙涯嶺付近は険しく,登山道にロープや鎖が取り付けられています。
中央アルプスは大部分が花崗岩でできていて,この付近はそれがむき出しに
なっています。岩山をよじ登る感じです。

この日は最初天気が良く,空気も澄んでいたので,明るい時間帯でも
濃尾平野を望むことができました。中央やや上にかすかに見えていますが,
なんと名駅の高層ビル群も肉眼で認識できるくらいに! 実はこれが今回
一番の感激でした!

越百山まで南下しました。この頃には東側から雲が湧き出して時折視界を
遮るようになりました。それまで天候に恵まれ,すばらしい眺めを楽し
ませてもらえたので,もう十分です。

長い尾根道を延々と歩いて下山しました。途中にはこんな物も。
シカの生息調査のためのセンサーカメラです。近年シカの生息数の
増加が,さまざまな問題を引き起こしているのですが,中央
アルプスもその例外ではないようです。

 私は今回初めて南駒ヶ岳から南の稜線を歩きました。登山道がわかりにくいため,誰にでもお勧めできる区域ではないものの,人が少なく静かな山登りを楽しむことができたと思います。


2020年10月10日土曜日

中央アルプスに山登り(その1)

  みなさまこんにちは,よしだです。

 9月末の話になりますが,私は一人で中央アルプスに1泊2日で山登りに行ってきました。北アルプスや南アルプスに比べると,中央アルプスは規模が小さく,標高3,000 mを越える山もありませんが,それでもいろいろな自然に出会えますし,名古屋からアクセスしやすいのも便利です。

 今回は情報量が多めなので,2回に分けて投稿します。この投稿は1日目の様子です。

 今回の山登りは周回コースと言って,登山口の伊奈川ダムから歩き始め,林道を北上し,北端の登山口から東進し,空木岳(うつぎだけ)・仙涯嶺(せんがいれい)・越百山(こすもやま)と南に向かって縦走して,尾根を西進して伊奈川ダムに戻る,という時計回りのルートになります。1日目は空木岳直下の木曽殿山荘まで歩きました。

木曽川の支流,伊奈川の上流にある伊奈川ダムです。
土砂が大量に流れ込んでいて,かなり浅くなっています。

ダムの横では,流れ込む沢に砂防堰堤を作る工事中でした。
中央アルプスも急峻な山並みなので,
土石流などが頻繁に起こっているようです。

林道歩きは2時間ほどかかる長い道のりでしたが,
川原を見下ろすとサルがいたりして,
自然を楽しみながら歩いていきます。

登山道はしばらくこんな感じで,大きく成長したササをかき分けながら
歩きます。慣れてないと戸惑うかもしれませんね。

大きな沢に出ました。もともとここにはつり橋がかかっていたそうですが,
土石流で流されてしまい,歩いて渡るしかありません。

山小屋がもうすぐのところまで登ってきました。かなり標高の高い
ところですが,細い沢があって水を補給します。木曽義仲が
中央アルプスを越えていった話から,「義仲の力水」と呼ばれています。

山小屋に到着しました。明日登る空木岳を見上げます。紅葉が始まって
いますね。この頃だんだん雲が多くなり,天気が怪しくなってきました。

14時過ぎ,バラバラという音にびっくりして小屋の外を見ると,なんと
霰(あられ)が降ってきました! このあとどんどん気温が下がって,
真冬のような寒さに・・・

山小屋の夜は早く,夕食は17時,消灯は20時です。日没の頃には天気も
安定し,きれいな夕焼け空を見ることができました。そしてその下には,
名古屋をはじめとする濃尾平野の夜景がくっきりと見えました。

その2に続きます。

 

2020年10月8日木曜日

子だぬき

  みなさまこんにちは,よしだです。

 きのう(10/7),出張から戻って駐車場に車を止め,W1に向って歩いていたら,森の中でごそごそ音がしました。森の中を猫が歩き回っていたり,ハトなどが植物の実を探して歩いていたりするので,音がするはよくあることですが,今回はちょっと様子が違いました。何と子だぬきです!


 やや森の奥とは言え,私が写真を撮っていても逃げる気配がありません。あまり警戒していないのでしょうか。また,通常タヌキは両親で子育てするので,子だぬきが一匹だけでいるのもすこしヘンです。両親とはぐれて弱っている,ということでなければよいのですが・・・。

 ただ,金城の森でタヌキが繁殖していることを示す写真を撮れたのはよかったです。この子だぬきも,この森で元気に育ってほしいですね。

 

2020年10月5日月曜日

豊田市であいち自然再生カレッジ

  みなさまこんにちは,よしだです。

 10月3日(土曜日),金城も加盟している東部丘陵生態系ネットワーク協議会の主催する「あいち自然再生カレッジ」が開催されました。場所は豊田市にある愛知県緑化センターとそれに隣接する昭和の森です。

 今回講師としてお招きしたのは,名古屋大学大学院生命農学研究科の戸丸先生。先生は遺伝子解析の手法を樹木や森林に応用した研究をされており,その成果の一つであるシデコブシとコブシの交雑問題について講演していただきました。

 シデコブシは東海地方の湧水湿地に生育する固有種ですが,シデコブシに近縁のコブシはもともと東海地方には分布していませんでした。しかし,花がきれいといった理由で庭木や街路樹などとして人為的にこの地方に植栽された結果,シデコブシとの交雑種が生まれ,いわゆる遺伝子汚染の問題が発生している,というのが今回のお話の概要です。これも一つの外来種問題と言えるもので,生物多様性を考えるうえで重要なテーマです。


 遺伝子解析など専門的なお話でしたが,時間をかけて補足的な説明を加えながら,わかりやすくお話をしていただきました。
 座学のあとは昭和の森へ移動します。私はこの緑化センターに初めて来たのですが,敷地も広く,建物も立派でびっくりしました。

 とはいえ,森に入ればそこは自然の世界。このあたりもイノシシが生息しているようで,イノシシよけの柵がありました。イノシシやシカなどの分布拡大やそれに伴う獣害もまた,生物多様性においては頭の痛い問題です。

 昭和の森まで移動し,戸丸先生の解説を聞きます。森の中をよく見ると,シデコブシとコブシの雑種とみられる個体がいくつも見つかりました。

 昭和の森の中にある湿地も見学しました。本来シデコブシはこのような湿地の周辺に生育することが多く,実際ここにもシデコブシはあるのですが,個体数が少ないことや,他のシデコブシ群落と完全に孤立してしまっていることから,コブシとの交雑問題が仮になかったとしても,ここのシデコブシの群落を維持するのは難しいとのこと。自然を守るということは,そうそう簡単な問題ではないことを改めて知ることができました。
 

 さて,今回のカレッジでも多くの方に参加していただき,この問題について理解を深めていただけたのではないかと思います。多数ご参加いただき,ありがとうございました。また,ご講演いただいた戸丸先生,運営に関わっていただいたスタッフのみなさまにも感謝申し上げます。