2020年8月31日月曜日

黒部川の源流域へ

  みなさまこんにちは,よしだです。

 

 私は山登りが好きで,これまでもこのブログで何回かその様子を紹介してきましたが,今年は新型コロナウィルスの影響(コロナ対策の遠隔授業対応による多忙も含めて)でなかなか行く機会がありませんでした。また,山小屋の営業中止や完全予約制も,計画を難しくする要因になっていました。


 そんな中でコロナ対策も考慮した山登りとして,登山口まで自家用車での往復・単独登山・テント泊の形で登ることにしました。今回目指したのは北アルプスの奥地,黒部川源流域の山々。3泊4日での行程です。


 結果から先に言ってしまうと,今回の山登りは失敗してしまいました。1日目に足のトラブルが発生してしまったのです。歩いている途中で太ももからふくらはぎにかけて激しい痛みが発生して,足が動かなくなってしまいました。幸い持参していた薬が効いて20分ほどで痛みが治まり,再び歩けるようになりましたが,予定通りの行程をこなすのは危険と判断し,途中の山小屋までで行動を打ち切り,その周辺の山に登って翌日下山しました。


 何とも不甲斐ない結果です。要因はいろいろ考えられますが,もともと体の準備が十分にできていなかったうえに,トラブル発生直前までは順調で,ついオーバーペースになっていたのも良くなかったのだと思います。天候がよかっただけにとても残念ですが,下山の余力を残してこその安全登山ですから,撤退の判断はやむを得ないと思っています。


 つまらない話になってしまい恐縮ですが,ここからは今回撮った写真を何枚かご覧いただこうと思います。

一日目,天気は良好で,山でも暑いくらいでした。
有名な槍ヶ岳を望みながらどんどん登っていきます。

ところが急にトラブルが発生して,この双六小屋のテント場で一泊することにしました。目的の山の一つが小屋の奥に見えていますが,登頂は叶いませんでした。

テントの中で休息を取り,小屋の隣の双六岳まで往復してみました。
ここは「天空の滑走路」と呼ばれる台地状の稜線が特徴です。
確かに不思議な地形でした。

2日目の夜明けです。
山で見る御来光はいつもすがすがしい気分になります。

2日目は三俣蓮華岳まで往復してみました。中央に見える大きな谷が
黒部川の源流で,それを取り囲む山々に登る計画でしたが,
残念ながら今回はここから見るだけで撤退です。

すでに高山植物の花のシーズンは終わりかけでしたが,アサギマダラは
山頂でも登山道でも頻繁に見かけました。小さな体の蝶ですが,
九州・沖縄方面へこれから渡りをしていくのです。

 

2020年8月22日土曜日

長久手市でモニタリング

  みなさんこんにちは,よしだです。

 

 きょう8/22は,長久手市の「川でガサガサ生きもの探し」に共催する形で,東部丘陵生態系ネットワーク協議会の「生物多様性モニタリング調査」を実施しました。晴れるのは良いのですが,40度に迫るような酷暑が峠を越えたとは言っても,35度近い気温になり,熱中症に注意しながらの開催となりました。

長久手市役所での開催前の様子です。
今回も協議会メンバーの自治体の方々が,スタッフとして多く応援に
駆けつけてくださいました。

 最初にごあいさつや説明,注意喚起などを行い,市役所から歩いて10分くらいのところにある香流川(かなれがわ)に移動しました。下の写真は右岸側で,住宅が立ち並んでいますが,左岸側は森になっている場所です。
まずは生きもの探しの説明です。
川の生きものをつかまえるコツを教えていただきました。

 参加者のみなさんも川に入っていきます。岸の雑草は事前に長久手市さんで刈っていただいたので,スムーズに移動することができました。
暑いので,川の中に入るのはちょうどよかったですね。

 私も地上から観察していましたが,水面をハグロトンボがたくさん飛んでいました。トンボですが,チョウのようにひらひらと優雅に羽を動かすちょっと変わったトンボです。
たくさん飛んでいるので,なわばり争いやらメスの追っかけで
忙しそうでした

 こちらはギンヤンマ。見たのはこの一匹だけでした。シオカラトンボに追っかけられてばかりでしたが,あまり気にしていないのでしょうか。何度も行き来していました。
飛んでいるところを撮っているのでブレています。

 川の中には,たくさんの小魚から,大きなコイまでいろいろいました。外来種のブラックバスもたくさんいました。
15 cmから20 cmくらいのブラックバスです

 再び市役所に戻って,つかまえた生き物を見ながら「カメの先生」こと愛知学泉大学の矢部先生から,外来種についてレクチャーしていただきました。
 今回カメのわなにつかまったのは,クサガメ・スッポン・ミシシッピアカミミガメでした。ミシシッピアカミミガメは明らかに外来種ですが,クサガメ・スッポンは在来種であっても,別の場所に持って行って放したら外来種になってしまいます。だからよく注意しないといけない,そんな話をしていただきました。

スッポンを見せながら矢部先生がお話をされています

 最後に,捕まえた生き物の写真を撮ってモニタリング調査のサイトにアップする方法の説明があり,参加者のみなさんが専門家の先生に質問したり,説明を受けたりしながら撮影をしていました。

 今年の夏休みは新型コロナウイルスの影響で,出かけるのが難しかったり,そもそも夏休みが短かったりしていつものように楽しめなかった人が多かったと思いますが,身近な環境にもいろいろな発見があることに気がついたのではないでしょうか。

 

 最後になりましたが,今回のイベントの企画・運営の中心となっていただいた長久手市およびその関係の方々をはじめ,各行政の方々,有識者の先生方など,多くの方々にご協力をいただきました。ここに感謝申し上げます。

 

2020年8月17日月曜日

瀬戸市であいち自然再生カレッジ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 お盆の前のことになりますが,金城も加盟していている「東部丘陵生態系ネットワーク協議会」の開催するあいち自然再生カレッジが瀬戸市で行われました。今回は地元の自治会の方々と瀬戸市役所の協同による開催で,オオサンショウウオが生育する川で生きもの探しをし,さらにオオサンショウウオを観察したり,その生育について勉強するという内容です。

 幸い開催日は天気が良かったのですが,この夏らしく猛暑で,コロナウイルス対策と熱中症対策の両方に気を使いながらの開催となりました。まずは体育館で全体的な説明と,瀬戸市役所の方からこの場所の生きものについてのプレゼンをしていただいたのち,近くの川に移動して生きもの探しです。

川の中に入っての生きもの探しは,
子供も大人も夢中になりますね。

ヨシノボリの仲間です。吸盤で水槽に張りついています。
他にもカワムツなどの魚やトビケラやヤゴなどたくさん見つかりました。

陸上チームは川べりで生育する植物を観察したり,
虫をつかまえて種の同定をしました。

 ある程度生きものが見つかったところで,カメの捕獲のために前日から仕掛けておいたワナを引き上げることにしました。カメと言えば愛知学泉大学の矢部先生(写真右)ですが,残念ながらカメは一匹も捕まりませんでした。しかし,代わりに何とオオサンショウウオが!
思いっきり番狂わせです(笑)

 オオサンショウウオは夜行性なので,進行上は夜になってから瀬戸市の方々に捕獲していただき,みんなで観察することになっていました・・・ なので夜のお楽しみが先に来てしまったのですが (苦笑),明るい時間帯にオオサンショウウオの生の姿が見られたので,良しとしましょう。

左上に少し写り込んでいる靴と比較するとイメージがつくと思いますが,
とにかく大きくてびっくりです!

 実は私,オオサンショウウオを見るのはこの日が初めて! 体の模様に個体差があることや,目がとても小さいこと,口がとても大きいことなど,実物を見ると本当によくわかりました。

 で,この2匹を観察している場所の横にある小さな堰をみると,流れに逆らうようにもう1匹オオサンショウウオがいるではありませんか!
Wow!!!

 お昼の部が終わり,休憩をはさんでからは夜の部です。最初にサンショウウオを研究しておられる大垣北高校の高木先生から,サンショウウオについてご講演をいただきました。県別でサンショウウオの種類が一番多いのは愛知県だった,というお話にはびっくり。地元として誇りに思うと同時に,みんなで守っていかないといけませんね。

 再び川に移動して,瀬戸市役所の方につかまえておいていただいたオオサンショウウオを観察して・・・の予定でしたが,お昼間にすでにつかまっていますので,それの個体調査の様子を観察します。
大きさ(個体長)を測るため,専用の容器があるんです!

 長さ,体重,個体識別のマイクロチップの確認などが進められていきますが,大きいものは10 kg近くあり,測定するのも大変そうです。でもこんな調査の様子を見ることは普通できないので,いい経験になりました。

 私もこの会を運営するスタッフの一員でしたが,初めて見るオオサンショウウオについ興奮してしまいました。このような生きものが住むすばらしい環境が,いつまでも残ってほしいですね。

 最後になりましたが,この会を運営するにあたり,地元の自治会の方々,瀬戸市役所の方々をはじめとして,多くの方々のご協力をいただきました。ここに深く御礼申し上げます。
 

2020年8月14日金曜日

八竜湿地でサンプリング

 みなさまこんにちは,よしだです。

  梅雨が明けて猛暑が続いていますね。そんな中私は,定期的に実施している八竜湿地での水質調査用のサンプリングをしてきました。暑いので,周りに人がいないことを確認してマスクを外し,約20ヶ所設定したポイントで採水したり,pHなどを測定したりします。

ここは森の中のサンプリングポイントです。

見た目は涼しげですが・・・


 採水のポイントがたくさんあるので,手早く次々と回っていくのですが,空が少しずつ暗くなり,遠くから雷鳴が聞こえてきました。ひんやりとした風が吹いて,これは怪しい!と思っていたらやはり,雨が降り始めました。その雨はすぐに大粒のまとまった雨になり,汗と雨でずぶ濡れになりながら研究室までいったん戻って,様子を見ることにしました。

 雷雲が去ったのを確認して,2時間の中断を経てサンプリングの再開です。まだ青いズミの実に雨粒がついてきれいでした。

 このあとも厚い雲がかかり続け,しばらく晴れることはなかったのですが,雨も降ることもありませんでした。気温が一気に上がる前に調査を済ませることができました。

 八竜湿地では今回,こんな植物を見ることができました。 

くちなしの実です。実が熟すのはまだまだ先ですが,
姿はすでに完成形ですね。

 

ワレモコウの花です。
一部の個体で花が咲きはじめました。


シラタマホシクサのつぼみです。
これから少しずつ成長して「白玉」になっていきます。

 当分の間猛暑が続くようでうんざりですが,植物の世界では次の季節への準備が着々と進んでいるようです。