2021年7月27日火曜日

ライチョウの砂浴び

 みなさまこんにちは,よしだです。

 以前,八竜湿地で見たメジロの水浴びの話を書きましたが,今回は私が山登りに行った時に見たライチョウの砂浴びについて書きたいと思います。

 場所は長野県と山梨県の県境,南アルプスの甲斐駒ヶ岳という山です。山梨県側の麓ではおいしい水が湧き出ていて,南アルプスの天然水の山,と言えばイメージしていただけるでしょうか。

 この山は花崗岩でできていて,山頂付近は花崗岩とそれが風化した砂地が混在しています。私が登り進んだとき,ライチョウは花崗岩の上を歩いていました。

トコトコ歩いています
 
 ライチョウが私に気がつくと,そそくさと砂地のほうに歩いて行き,ちょうどよさそうなくぼ地に入って大き目の石を足で蹴飛ばして取り除き,くぼ地に細かい砂をくちばしで中に入れて,バサバサバサッ!と豪快に砂浴びを始めました。
豪快に砂を飛ばしています!
 
 ギャラリーは私を含めて4人まで増えましたが,チラチラこちらを見ては何度も砂浴びを続けていました。私たちも見てて楽しかったですが・・・
 
 ここでおやっ?と思った人はいないでしょうか。
 先日見たメジロはものすごく警戒しながら水浴びをしていたのに,ライチョウはむしろ,人前で得意げに砂浴びを見せてくれるのです。ちょっとヘンですね。
 
 ここからは私の想像なのですが・・・
 おそらくライチョウは天敵のワシやタカを警戒しているのです。しかしそこに人間が来ると,ワシやタカは襲ってこなくなるので,無防備な砂浴びを安心してできるのです。人間にとっても,愛らしい姿はずっと見ていられるし,写真や動画を撮ったりもして,まさにWin-Winの関係ではないでしょうか。日本ではライチョウを「神の鳥」として捕獲したりしなかった長い歴史の結果なのだろうと思います。面白いなぁ,と思いながらしばらく見ていました。
 

2021年7月21日水曜日

ゆで卵のようなきのこ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 名古屋も梅雨が明けて,毎日暑い日が続くようになりました。金城の森ではセミが盛んに鳴いていますが,足元を見るときのこが生えていました。


 土から出てきたばかりの,傘を開く前のきのこですが,その姿はまさにゆで卵! 写真ではわかりづらいですが,大きさもほぼゆで卵サイズでした。

 これは,有毒のドクツルタケではないかと思います。誤って食べると死に至ることもある怖いきのこで,傘を開けば20cmくらいにもなって,存在感もなかなかなものですが,出てきたばかりの姿はかわいらしいですね。

 

2021年7月15日木曜日

トカゲのしっぽ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 梅雨末期の大雨なのか,夕立なのか,このところ名古屋は短時間で強い雨がよく降ります。普通の授業には差し支えないものの,学生さんを連れての湿地や森の見学は,その時間に雨が降らないよう祈るしかありません。

 先日の「薬学セミナー」の時間も,学生さんと一緒に森を見て回ったのですが,その時撮ったのがこの写真です。

 最初は何かの虫かと思ったのですが,色や形からトカゲのしっぽのようです。天敵につかまったとき,トカゲはしっぽを切って逃げるという行動を取るのは誰でも知っていますが,実は私,トカゲの「しっぽだけ」を見るのは初めてです。そもそも,しっぽのないトカゲってまず見かけないので,単純に珍しいと思ってこの写真を撮りました。

 実際トカゲにとって,しっぽを切る機会って,どれくらいあるのでしょうね? そして逃げたトカゲからはまたしっぽが生えてくる(再生する)わけですが,しっぽからは体は再生しません。考えてみたら不思議ですね。


2021年7月8日木曜日

湿地で石積み(その2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 前回の記事で,長久手市にある湿地で行った石積み作業のことを書きましたが,先日その後の様子を見に行きました。2週間ほど経過していますが,この間に特に強い雨は降らなかったからか,土砂が流出するようなことはありませんでした。
積んだ土砂は無事でした

 とは言ってもまだ十分な量とは言えないので,作業開始です。
川で土砂を取り・・・

湿地に運んで・・・

ザザーッと投入!

 今回も10名以上が集まり,雨が降る中がんばりました。
 少しわかりづらいですが,最上部はダムのように扇形に土砂を積み,水が湿地に広く行き渡るようにしました。

 これからまたしばらく様子を見ることになりますが,今は石の間をすり抜けて流れる水も,すきまに砂がたまって締まってくれば,表面を流れてくれるようになるのでは?と期待しています。
 

2021年7月1日木曜日

湿地で石積み

 みなさまこんにちは,よしだです。
 7月に入りましたが,梅雨空が続いていますね。
 
 少し前のことになりますが,長久手市内にある湿地の保全作業に参加させていただいた時のことを今回は書きたいと思います。
 
 湿地はその名の通り,水があってこそ「湿地」となるわけですが,周辺から土砂が流入して埋めてしまったり,逆に湿地の中の土砂が流されて小さな川ができ,水が全体に行き渡らなくなったりすると,乾燥化して湿地という環境が失われてしまいます。ここの湿地では後者が問題となっていて,対応策としてその小さな川に石を積んで埋めることになりました。
 
 小さな川,と書きましたが,専門的には「リル」と呼ぶようです。どうしたことか私はこの時,埋める前の写真を撮り忘れてしまい,「リル」だった状態をお伝えすることができません。なので代わりに,山登りをした時に撮った写真でイメージをつかんでいただこうと思います。
 
 急に壮大な写真が出てきましたが(笑),ここは南アルプスの蝙蝠岳(こうもりだけ,2,865m)という山の近くの稜線上です。写真中央から左下にかけて,亀裂のように溝ができているのがわかると思います。これが「リル」です。溝の深さは20-30cmくらいだったと思います。小さな溝でも,降った雨がここを流れ続けることで土砂が削られて浸食が進み,これからどんどん谷が深くなっていくことでしょう。
登山道は左上から右下に続くのに
リルに目が行って左下に誤って進んでしまい,
危ない思いをした場所です (>_<)
 
 で,話を長久手に戻しますね。
 石を積むと言っても,それなりの量を外部から持ち込むのは大変ですから,湿地のすぐ下を流れる小川で採取しました。こぶし大の大きめの石と,砂に近いような小さいものを,バケツを分けて回収します。 
充実のマンパワーです!
 
 大きい石,小さい石を交互にリルに投入します。
ほぼ埋まってきました
 
 それなりに斜度のある湿地のリルに,石を積んだだけで大丈夫でしょうか? 簡単に崩れたりしないでしょうか? 実はよくわかりません。なにせ初めてのことですから,やってみないとわからないのです。経過観察を続けて,どれくらい効果があるのかこれから確かめていくのです。
完成です
ここに溝があったとは思えないような
仕上がりです
 
 この方法,実にシンプルですが,うまくいけば湿地保全のとても良い事例になると思います。というのも,大学の隣の八竜湿地でも大雨による大量出水でリルができてしまい,水がそこを流れ下ってしまうので,湿地全体に水が行き渡らないという全く同じ問題が起きています。おそらくこの問題は他の湿地でもあると思います。その問題の答えがこの湿地から出せるのかどうか,とても興味深いですね。