2025年7月21日月曜日

天然のシルク

 みなさまこんにちは,よしだです。

 今日(7/21)も昼間は猛暑になりましたが,八竜湿地に行って動物調査用のカメラからデータの回収をしてきました。カメラの状態確認や電池が切れていないかの確認も兼ねて,おおよそ1ヶ月に1回 データ回収を行っています。

 その際,森の中でこんなものを見つけました。鮮やかな淡い緑色の丸いものですが,これはヤママユガというガの一種のまゆ玉です。蛹はこの中で成長し,ガとなって飛んでいくのです。裏側には穴が開いていたので,すでに成虫が飛び去った後でした。

 ガの蛹と言うと気持ち悪いと感じる人もいるかもしれませんが,このまゆ玉は天然のシルクです。これをほどいて加工すれば絹糸になるのです。もちろん普通のシルク(カイコガ)のようには普及はしていませんが,ヤママユガのシルクを作っている地域もあって,かなりの高級品となっています。

 今回拾ったまゆ玉はすでに穴が開いているので商品価値はありませんが,金城の里山の生物の多様性を示すものとして拾ってきました。

2025年7月15日火曜日

キツツキの巣の跡

 みなさまこんにちは,よしだです。

 昨日の夜から今朝にかけてかなり強い雨が続きました。しかし朝にはその雨もやみ,午前中から日が射すようになりました。雨上がりの晴れということで,私は八竜湿地に行って,現地に設置してある流出量測定装置の流量測定をしてきました。水位が高い多い時の,単位時間当たりの実際の流量を測定するためです。

 その帰り,森の中の道を歩いている時に倒れた木の幹を見つけました。右上に生えていた木が根元近くから折れたようです。


 折れた枝をよく見ると,小さな丸い穴が開いていました。500円硬貨よりも一回り大きいくらいの直径です。穴の中に砂のような細かい粒がたくさん入っていました。
 おそらくこれは,キツツキのコゲラが子育てのために開けたものなのでしょう。コゲラは日本で一番小さなキツツキで,あまり力が強くないので枯れ木に穴をあける習性があります。その方が楽だからなのでしょうが,すでに枯れた木なのですぐにこのように倒れてしまい,何年も使いまわすことができません。常に一定の枯れ木が発生することが繁殖の条件になるので,ある程度森が成熟していることが,コゲラが定着する条件になるのかな,とこれを見て思いました。

2025年7月7日月曜日

木曽駒ヶ岳登山

 みなさまこんにちは,よしだです。

 7/5(土曜日),学生さんたちと一緒に,長野県の木曽駒ヶ岳に登山に行ってきました。この登山はKSCのイベントではなく,私の研究室のイベントではあるのですが,KSCメンバーの学生さんもいますし,何より自然を体感する内容ですので,ここでその様子をお伝えしたいと思います。

 木曽駒ヶ岳は標高2,956 m の山で,中央アルプス(木曽山脈)の中で最も標高が高く,日本全体では25番目ですから,かなり高い山の一つと言えます。それでも麓からバス・ロープウェイを乗り継げば,標高2,600 m超の千畳敷と呼ばれる氷河地形(カール)まで一気にたどり着けるので,簡単に山頂まで日帰り登山を楽しめるのが特徴です。

 今回私たちは朝名古屋を出発し,バス乗り場の駐車場まで向かいました。駐車場はとても混んでいましたが,バスはほんの10分くらい待つだけですんなりと乗れました。幸運にも私は,補助席ながら一番前の席に座ることができ,前方の景色を楽しむことができました! いつも思うのですが,この路線バスの運転手さんは本当に運転が上手で,狭い山道も気持ちいいくらいスイスイ走っていきます。


バスからこんどはロープウェイに乗り換えです。ロープウェイもまた前方の位置を占めることができ,学生さんたちと景色を楽しみました。

 千畳敷に着きました。まずは登山届を書き,テラスに出ました。気温は17度くらいで,猛暑に慣れた(?)体にはひんやりするくらいです。よく晴れて気持ちのいい青空が広がっていました。

 準備を整えたら出発です。まずはカール内を横切っていくのですが,部分的にはまだ雪が残っていました。ひんやりするはずですね!

 カール内をある程度横切っていくと,山頂に向かう分岐に出ます。ここからカールの壁を一気に登っていくことになります。かなりの急角度ですから,少しずつゆっくりと進んでいきました。

 30分ちょっとかけて壁を登り切り,乗越浄土(のっこしじょうど)という場所まで来ました。ちょっとしんどかったので,休憩して水などを補給します。遠くに見える山なみは南アルプスで,画面左には富士山も頭を出しています。今回参加した学生さんたちは,この夏富士山登頂を予定していて,今回の山登りはその練習という位置づけでもあったのですが,遠くにそびえる富士山を見て,学生さんたちは何を思ったでしょうか。

 乗越浄土から中岳という緩やかなピークを越えて,木曽駒ヶ岳の登りに差しかかります。山の天気は変わりやすく,この頃には霧が出て見通しがだんだん効かなくなってきました。

 木曽駒ヶ岳の山頂です。登頂成功ですが,周りは真っ白け・・・。さきほど乗越浄土から山頂が見えていたのに,ここから乗越浄土を見ることはできませんでした。天気が荒れる予報ではなかったものの,稜線は風がいくらか強くなったので,記念写真を撮ってすぐ引き返しました。

 景色が見えず残念・・・と思っていたら,登山道に人だかりができているではありませんか! もしや?と思って行ってみると,いました! ライチョウです!
 メスのライチョウが2-3羽のひなを連れていました。中央アルプスのライチョウは一時期絶滅してしまったものの,復活のプロジェクトが進められているという話を聞いてはいたのですが,ここで私が本物のライチョウを見るのは初めてです。繁殖も成功しているようでうれしいですね~。学生さんたちも感激でした。
 このあとすぐ近くにもう一羽のメスとそのヒナがいて,あわせて2ファミリーも目撃できました。

 乗越浄土で少し遅いお昼ごはんにして,いよいよカールの壁を下っていきます。こちらも霧が出て,ロープウェイ乗り場さえ見えなくなることも。時間はまだ余裕があるので,ゆっくり慎重に下っていきます。
私を先頭に白い中を下っていきます
(この写真は学生さんが撮影したものです)

下から見るとこんな感じです

 壁を下りきって緩やかな道になったところで,高山植物を観察してみました。雪解けしたばかりだからかまだ花は少なめでしたが,チングルマやハクサンイチゲなどが咲いていました。
白い腕が私で,チングルマはこう見えて樹木なんですよ,
といった話をしています
(この写真も学生さんが撮影したものです)

 このあとすぐにロープウェイ乗り場まで到着し,無事に登頂を果たしました。一気に標高を上げたにもかかわらず誰も高山病の症状が出なかったので,富士山も少なくとも途中までは大丈夫そうですね。学生さんたちにとっても,アルプスの山の経験ができたことで,自信がついたのでは?と思っています。

 



2025年7月3日木曜日

竹炭の袋詰め

 みなさまこんにちは,よしだです。

 KSCでは先日,竹炭の袋詰めを行いました。メンバーで作った竹炭を8月のオープンキャンパスで配布して,金城の里山について皆さんに知っていただこうと思っているのです。オープンキャンパスでの竹炭の配布は,実は2019年までは毎年実施していたのですが,新型コロナウィルス感染症の拡大を受けて,KSCがオープンキャンパスでブースを出すことも中止しただけなく,そもそも炭焼きもしばらく中止していたため,配布をするのは6年ぶりになります。

 今回の袋詰めに最初から参加した学生さんは1人だけでしたが,講義が終わったりして少しずつ人数が増え,最終的には6名の学生さんが集まって地道に袋詰めをしていきました。今回参加した学生さんの中で一番上は薬学部の6年生ですが,それでも2020年入学なので,全員が初めての袋詰めとなりました。

手前の学生さんが竹炭の重さを量り,続く2人の学生さんが
袋詰めをするという流れを2列作って,効率よく作業しました。

 今回は炭焼き2回分の竹炭を用意し,チャック袋におおよそ50 gずつ入れていきました。炭の粉が飛ぶので,環境デザイン学科の朴先生のご厚意で実験室を使わせていただきました。袋詰めといっても,大きな竹炭は適切な大きさに割らないといけないですし,生焼けでないかの確認もしないといけないので,それなりに手間がかかります。なので200袋を2時間近くかけて作りました。竹炭自体はまだ5 kg以上残りましたが,また別の機会に使おうと思います。

 8月のオープンキャンパスでは,竹炭の配布だけでなく,KSCの活動紹介や金城の里山の生きもの紹介もしたいと考えていて,今後ポスターも作り直していく予定です。久しぶりにKSCを紹介できることを楽しみにしています!

 

2025年7月1日火曜日

きのこ

 みなさまこんにちは,よしだです。

 きょう(7/1),学生さんを連れて八竜緑地の森に出かけました。その時見つけたのがきのこです。

 一つ目のきのこは1本だけ生えていたもので,周りの落ち葉を取り除こうとしたらポロっと倒れてしまいました・・・。見た目的にはコテングタケモドキが近そうです。


 二つ目は広範囲に群生していたもので,ちょっと遅かったようで枯れ始めた感じになっていました。すごいのはその量! 幅最大約10m×奥行約10mの範囲ににょきにょき生えているのです。外観はドクツルタケに似た雰囲気を出していましたが,大きさがちょっと小さいように見えます。
写真ではうまく表現できていませんが
とにかくたくさん生えていました!

 どちらのきのこも種名ははっきりしませんが,おそらく地中に菌糸を張り巡らして樹木と共生をしている種類ではないかと思います。もしそうなら,水やミネラルなどを樹木に渡し,樹木からは栄養源となる糖分をもらっているはずです。人間の目には「きのこ」しか認識できませんが,森の中の見えないところで森を支えている重要な役割を演じているのです。