2024年11月2日土曜日

御在所岳ハイキング

 みなさまこんにちは,よしだです。

 順番が前後しますが,10/20(日曜日)に学生さんと一緒に,三重県の御在所岳へハイキングに行ってきました。御在所岳は標高1,212mで,鈴鹿山地の中で最も名前が知られている山と言ってよく, ロープウェイで気軽に楽しめることもあって人気ですね。

 今回このハイキングを企画したのは,4月の霊仙山ハイキングに行けなかった研究室の学生さんから,どこかハイキングに行きたいとのリクエストがあり,名古屋から近い,公共交通機関でアクセスできる,山登り初めての人でも登れる・・・といった条件で絞って御在所岳となりました。

 少し風が強く吹くかも?という心配はあったものの,終日天候に恵まれ,結果的にみんなが登頂して楽しめたハイキングになりました。今回の経験が,より自然を楽しんだり,より高い山に登ったりするきっかけになってくれたらうれしいです。

 以下,写真でハイキングの様子をお伝えします。

 当日電車とバスでロープウェイ乗り場に着いたのは午前8時30分頃でした。この時点では風が強くてロープウェイは運休中でしたが,空は快晴です。ここで不要な荷物をコインロッカーに預けたり,準備運動をしたりして,9時ちょうどに出発しました。


 ロープウェイ乗り場の横を通り抜け,いったん舗装された道路に出ます。今回参加した学生さんは11名。5年生の研究室の学生さんだけでなく,1・3年生の学生さんとその友達も参加してくれました。

 舗装された道路といっても,けっこうな登りが続きました(汗)。ここから山道に入っていきます。

 山道に入ると傾斜がきつくなってきます。たくさんの人が通るので,このように人の足で斜面が削られ,谷の中を歩くような感じの場所も結構ありました。

 今回はいくつもある御在所岳の登山道の中でも,一番見どころの多い「中道」をのぼりました。その見どころの一つが,落ちそうで絶対に落ちない石「地蔵岩」です。縁起がいいので受験生に人気だそうですが,学生さんたちも「○○の単位が取れますように」「進級できますように」「国家試験に受かりますように」などなど祈願していました(笑)。

 中道は登山道が変化に富んでいるのも特徴で,その最たるものが6合目の「キレット」です。「キレット」は一見外国語のようですが実は日本語で,「切戸」と書き,稜線が深く落ち込んだ場所,という意味です。学生さんもこれからキレットの通過に挑みます!

 キレットを上から見るとこんな感じです。安全のため一人一人あいだを空けて通過したので,先頭に近い学生さんがかなり小さく見えます。それくらいの標高差がある,ということですね。設置された鎖を頼りにしながら慎重に下っていきます。

 このルート,登りも急な箇所が何回かありました。足だけでなく手も使ってどんどん登っていきます。

 だいぶん標高が上がって,その分見晴らしも良くなりました! この写真は濃尾平野を撮ったものですが,写真の下から1/3あたりに木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)が横切り,中央に名駅の高層ビルが見えます。双眼鏡などがあれば金城の建物も見えたかもしれませんね。

 登山道を登りきると,山頂周辺の整備された遊歩道に出ます。舗装されたなだらかな道なのでホッとします。10月下旬と言っても気温の高い状態が続いていたので,紅葉はまだ始まっていませんでした。

 さらに進むとこんな草原地帯に。といっても自然の草原ではなく,冬のスキー場です。写真左上の山頂を目指すのですが,あまりに気持ちのいい斜面なので,思わず走り出す学生さんも! なんて元気!

 山頂近くの広場でお昼にしました。すでに風も収まって快適です。お湯を沸かしたので,スープやカップラーメンなど温かいものも美味しかったです。みんなでお菓子やおやつを配ったりして,楽しい時間を過ごしました。
 食後は記念写真を撮って山頂へ。ここから琵琶湖が望めるのですが,ちょっと霞んでいるようでした。

 再びスキー場の斜面を歩いてロープウェイ乗り場に向かいます。今回はみなさん山に登るのは初めてなので,ロープウェイで下ることにしました。

 ロープウェイのゴンドラから見た景色です。伊勢湾までよく見えました。登りはゆっくり歩いて4時間ほどかけましたが,ロープウェイだとたったの15分!早いですね! でも時間はかかっても自分の足で登ったこと自体,価値のあることだと思いますよ。

 というわけで,みなさんおつかれさまでした!

2024年10月29日火曜日

東部丘陵生態系ネットワーク協議会カレッジ2回目

 みなさまこんにちは,よしだです。

 10/26(土曜日),金城学院大学も加盟している東部丘陵生態系ネットワーク協議会の環境学習講座「あいち自然再生カレッジ」の2回目を開催しました。今回は私の担当ということで,大学に隣接する八竜湿地の水に注目したテーマとしました。

 講座は13時に開始し,まずは座学ということで私から八竜湿地の水質や水の量について,その特徴や課題のお話をしました。

*参加者の方が写っている写真は,画像サイズを小さくし,さらに意図的に画質を落としています。ご了承をお願いします。


 1時間の座学の後は八竜湿地に移動します。湿地の手前にはため池の「新池」があり,その説明をしています。

 八竜湿地では2班に分かれて,湿地の説明を「水源の森と八竜湿地を守る会」(以下,守る会)の方にしていただき,私は湿地の水量を測る装置の説明をしました。実際に流れ出る水の量を測定しました。

 座学では,湿地の湧き水を確保するためには周辺林の伐採が有効,というお話をしたので,守る会の方の指導のもと,参加者のみなさんに実際に木を切っていただきました。

 その成果がこちら。1時間もしないうちにこんな山がいくつもできました!

 予定通り16時に講座を終了したのですが,みなさんそれなりに満足していただけたようで,私も開催した甲斐があったかな?と思っています。木を切るにはどうしても人手が必要ですので,多くの人が積極的に取り組んでもらえるようになったら・・・と思います。

 最後におまけですが,木を切っている時に参加者の方が見つけたきのこです。
 なかなか怪しくて毒々しい感じの紫色をしています! 画像検索では「ムラサキアブラシメジモドキ」では?とのことでした。さらに検索してみると毒きのこではなく食べられるらしいです。でもちょっと勇気がいりますね(笑)。



 

2024年10月15日火曜日

ジャンダルム

 みなさまこんちは,よしだです。

 10月に入って紅葉のシーズンに入ってきましたが,10月はアルプスなどの高い山では雪が降り始める時期です。つまり無雪期のアルプスの登山もこの頃までとなります。今年はアルプスのシメはジャンダルムにしよう,と当初から考えていてそれなりに準備もしてきたので,その計画を実行してきました。

 と,ジャンダルムと言われても何のことやら?ですよね。

 ジャンダルムは北アルプス西穂高岳と奥穂高岳の間にあるピーク(岩峰)の一つで,標高は3,163 mで日本ではかなり高い部類になりますが,奥穂高岳の付属峰とみなされ,独立した山ではないという扱いです。しかしジャンダルムのある西穂高岳と奥穂高岳の間の登山道は,一般縦走路では日本最難関とさえ言われるだけあって,ジャンダルムに到達するのはハードルが高く,それゆえ「いつかはジャンダルムに」と登山者あこがれのピークになっているのです。

 ちなみにジャンダルムとはフランス語で憲兵を意味し,進路を阻むような形の岩峰からその名がついたそうです。 

 今回私は,10月6日に西穂高岳中腹の西穂山荘から,西穂高岳・ジャンダルム・奥穂高岳を経由して穂高岳山荘まで歩きました。その様子を写真でご覧いただこうと思います。

天気予報ではこの日は晴れだったのですが,朝4時に西穂山荘を出てしばらくすると霧に巻かれ,雨も降りだしてきました。写真のように視界不良で風も強く最悪のコンディションです。私自身も寝不足のせいか頭が痛かったり吐き気がしたりで体調がよくありません。断念することも選択肢に入れて,とりあえず西穂高岳の山頂を目指しました。

ところが!西穂高岳山頂手前付近から急に霧が晴れ,風も雨も霧もなくなってきました。気がつくと私の体調もいつの間にか回復し,予定通り奥穂高岳に向けて進むことにしました。

西穂高岳の山頂を過ぎると現れるのがこの表示。「一般登山道ではありません。経験者向けの難ルートです。」の文字に身の引き締まる思いがします。緊張感をもって足を踏み入れます。

早速こんな急降下が始まります。写真上まで一気に下るのです。このルートはこんな下りが何度も何度も現れるのですが,普通の登山道だったら当然のようにある鎖が,ほとんどつけてありません。手と足を使って下るしかないのです。しかし,手を置いた岩がグラッと動くことも多く,かなりの慎重さが要求されます。

上の写真の急降下を終えて振り向いて撮ったのがこれです。写真中央左の黄色の服の人がまさに降下中です。これを登るのはそこまで難しくないかもしれませんが,登りと下りでは難易度が全然違います。

一度小ピークを登って進む方向を撮ってみました。基本的に稜線伝いに進むはずですが,明確な登山道というものが見えてきません。このルートでは「えっ,ここ行くの?」と何度独り言を言ったことでしょう・・・。 

次の小ピーク,間ノ岳への登りです。岩くずだらけの急斜面で,ちょっとしたことで簡単に落石が発生しそうです。このような場所では,自分が落石に当たらないように,そして自分が落石を起こさないようにも注意をしなくてはいけません

間ノ岳の山頂に到着しました。南アルプスには,標高が3190mと日本3位,日本百名山の一つである「有名な間ノ岳」がありますが,それに対してこちらは「通好みの間ノ岳」といったところでしょうか。山頂はちょっとした広がりがあってしばらく休憩です。後方に見えるとがったピークは西穂高岳。そこに到達する直前まで霧・雨・風だったことがウソのように青空が広がっています!

間ノ岳を後にして,かなり下りたところで間ノ岳を振り返って見ました。「えっ,あんなにとがっていたの?」と思うと同時に「結構すごいところを歩てきたなぁ」と思わざるを得ません。

先方を見ると,このルートの難所(と言うかずっと難所ですが・・・汗)の一つ,逆層スラブと呼ばれる場所が見えてきました。板状の岩(スラブ)が斜面下に向かって階段状になっている(逆層)岩場で,もし滑ったら止まることができません。写真の中心のやや上に白いヘルメットの人がいるのが分かるでしょうか。しばらくこの方の動きを観察して,自分がここを登るイメージを作っていきます。

逆層スラブの下までやってきました。写真中心やや左に赤い服の人が見えますが,この方が降りきるのを待って登ります。ここには長い鎖が1本ついていて,それを補助的に使って通過することになるので,安全上一人ずつ進むことになります。

逆層スラブを登ると「天狗の頭」というピークがあり,そこからまた急降下すると「天狗のコル」という場所に着きます。「コル」とは鞍部とも言い,ピークとピークの間にある一番標高の低い場所のことを言います。峠のイメージというとわかりやすいでしょうか。ここにはちょっとした広場があり,私も持ってきたパンを一つ食べて次に備えました。

天狗のコルからは,畳岩尾根の頭・コブ尾根の頭というピークへの登りになります。その標高差は300m以上!すれ違った人からは「ここは気合です!」と言われました(笑)。その途中を撮ったのがこれですが,崩れた岩山の写真,ではありません。これでも登山道なのです! これから中央の狭い谷を登っていきます。他の山では回避されるようなルート設定ですが,ここではこれでも最良なルートなのです!

つらい登り(本当につらかったです!)の途中で振り返って写真を撮りました。最も高いピークが西穂高岳で,あそこからかなり進んできました。がしかし,自分でもどこを歩いたのかさっぱりわからないような険しい岩山の連続です。よくもまぁこんなところを歩いてきたものだと,自分をほめてあげたくなります(笑)。

コブ尾根の頭の頂上までもうすぐというところまで来ました。今まで「目の前は岩」という景色ばかり見てきたので,この開けた斜面の風景は新鮮に感じます。がしかし,私はここで大きく道をそらしてしまいました。踏み跡をたどっていたはずが,いつの間にか踏み跡が不明瞭になり,正規の道がどこにあるのかわからなくなったのです。不安定な岩くずはいつ崩れるのか分からず,さすがにこの時は恐怖を感じました。すぐに安定した斜面に入ると,ちょうど人の声が聞こえたので正規ルートに戻ることができました。やはりここは油断ならないルートであり,再度気を引き締めて歩き始めました。

コブ尾根の頭の頂上に着くと,不意に前方にヘルメットのような形の岩峰が現れました。これがジャンダルムです! 山頂に何人かの方がいるのが見えます。

ジャンダルムの基部までやってきました。登山をやっている人はよく略して「ジャン」と言ったりしますが,岩に矢印で「ジャン」とあり,山頂への道を示しています。いよいよここまで来たか!と心が躍りますが,見ての通りわずかな幅の通路を進んでいきます。左下は何もない断崖絶壁です。補助する鎖もなく,安全は自分の足と手で守るしかありません。慎重に進みます。

いよいよジャンダルムの山頂に到達しました。この時お昼の12時過ぎで,西穂山荘を出たのが午前4時なので,すでに8時間が経過しています(慎重にゆっくり歩きました)。夏山だとこの時間には雲が湧き出して景色が見えなくなることも珍しくないですが,この日は天候に恵まれ,天を突く槍ヶ岳(写真中央)はもちろん,遠く白馬岳や立山といった山まで見通すことができました。 

山好きの人はよく,「ジャンダルムに行く」を「天使に会いに行く」と言ったりします。山頂に天使がじょうろで水をまく様子をかたどったモニュメントがあるからです。私の相棒のゾン太君,ぶじかえるくんがぶら下がっているのが3代目の天使で,2人の下には4代目の天使がいました。4代目のことはまったく聞いていなかったので,割と最近ここに置かれたのでしょうか。 

名残惜しいですが,ジャンダルムを後にします。あとは奥穂高岳に登って穂高岳山荘に行くだけ・・・とならないのがこのルート。むしろここから難所中の難所を超えることになります。また急降下の図ですが,手や足をどこに置いたらいいのかわからないような絶壁の降下が何回もあり,その都度ひーひー言ってました。

ジャンダルムを振り返ります。西穂高岳側からだとこんもりとした岩ですが,奥穂高岳側から見るとそそり立つような大きな岩峰であることがわかります。頂上に登山者が1人いるのが見えますが,ジャンダルムの大きさと比べるととても小さく見えます。

ジャンダルムの次は「ロバの耳」という岩峰に差し掛かります。絶壁を何度も下らされた分,こんどは絶壁を一気に登らされます。威圧感満載の岩壁で,時計で言うと6:30くらいの位置に青いヘルメットの人が登っているのが分かるでしょうか。「これを登るのか~」とため息が出ます。

そして最後の難所がこちら,馬の背です。ここはわずか数メートルですが,ナイフの刃先のようなところを進んでいきます。右も左もすっぱりと切れ落ちていて,手に汗握ること間違いなしです。

馬の背の一番スリリングな地点で写真を撮ってみました。高度感,伝わるかしら?
いま右足を置いている10 cm程の幅の岩棚を,前へ前へ(写真の上方向)に進んでいきます。これ以外足を置くところはありません。そして下は何もありません。ただ心落ち着けて一歩一歩を踏み出すしかありません(汗)。

馬の背を過ぎてしばらく歩くと安定した道になり,「一般登山道ではありません。経験者向けの難ルートです。」の区間が終わりになります。ホッとする瞬間です。そしてすぐに奥穂高岳山頂に着きます。振り返れば鉄かぶとをかぶったようなジャンダルムが,ひときわ存在感を放っています。長年の憧れだったあの頂に立ったことに感無量でしたし,今回難しい挑戦をやり切ることができたことに感謝の念が湧いてきました。

 今回「里山ブログ」なのに里山とは関係ない話(しかも長かったですね・・・)で失礼しました。今回紹介したルートは,岩稜帯通過の充分な経験値があったうえで,体力・気力・冷静な判断・装備・天候すべての条件が満たされた場合でしかお勧めできません。あまり参考にならず恐縮ですが,やはりリアルな自然に触れるというのは,よい経験だと思いました。KSCの学生さんにも,身近な里山でも標高の高めの山でも,多くの自然に触れてほしいと思っています。

 

2024年10月4日金曜日

繊維のダイヤモンド

 みなさまこんにちは,よしだです。

 10月に入ってようやく朝晩は過ごしやすくなりました。でも昼間はまだ真夏日があったりして,なかなか涼しくなってくれませんね。

 さて今日(10/4)の朝,いつものように最寄駅から大学に向かって歩いていると,足元にくすんだ緑色の丸いものを見つけました。道の右側はお寺の木が生い茂っているので,そこから落ちてきたのでしょうか,ヤママユガという虫のまゆ玉です。

 雨上がりであまりきれいとは言えないですし,すでに成虫が飛び立った後で,裏側には大きな穴が開いていましたが,せっかくなので拾ってきました。

 実はこれ,天然のシルクなのですよ。一般によく知られたシルクは,カイコガを育てて,それが蛹になった時につくるまゆ玉から作られますが,ヤママユガは飼育がとても難しいそうで,長野県安曇野市などごく一部の地域で飼育されているにすぎません。なのでこれを使ったシルクはとても貴重品で,「繊維のダイヤモンド」などと言われたりもします。

  一方でヤママユガは,クヌギやコナラなどを餌とすることから,里山の身近な生きものでもあり,大学の中でこのまゆ玉を見つけることもあります。とはいえ数は少ないので,まゆ玉を見つけたら「今日はいいことあるかな?」なんて思ったりもします(笑)。

 

2024年9月26日木曜日

五色ヶ原

 みなさまこんにちは,よしだです。

 里山ではないですし,少し前のことになりますが,私が北アルプスの五色ヶ原に行った時のことを今回書こうと思います。

 五色ヶ原と言ってもご存じない方のほうが多いと思いますが,立山黒部アルペンルートの結節点の一つ,富山県の室堂平(むろどうだいら)から直線距離で5 kmほど南にある,その名の通りなだらかな場所が五色ヶ原です。標高2,500 mほどの高山帯なのに平らに近い地形というのはとても不思議ですが,むかしむかし近くにあった火山から流出した溶岩でこの地形ができたそうです。

 今回は富山駅から電車・ケーブルカー・バスを乗り継いで室堂平に入り,そこから歩いて五色ヶ原に向かいました。時刻はまだ朝9時前ですが,室堂平から見る立山連峰にはすでに雲がかかってきました。

青空も見えていますが,雲がだんだん下りてきました。

 室堂平から五色ヶ原までは決してまっすぐな道ではなく,山を超え,谷を越えの繰り返しです。縦走路からすこしそれるものの,標高2,872 mの龍王岳という山にも登りました。マイナーな山ですが,これでも日本で38位の高さがあり,名前に「龍」「竜」「辰」のつく山としては日本一の高さなんですよ!
私にとって2回目の登頂ですが,今回もまた景色はいま一つでした・・・

 さらに鬼岳・獅子岳という山を越えると,今日一番の難所,ザラ峠へ300 mもの標高差を一気に下ることになります。下りの方が事故や遭難が起きやすいので,ここは慎重に足を運びます。ザラ峠と言えば,戦国武将の佐々成政が冬にこの峠を越えた「さらさら越え」の伝説で有名ですが,無雪期でも容易には超えられそうにない感じがします。
分かりづらいですが,上から峠を見下ろしています。
これから急な斜面を少しずつ下っていきます。

 ザラ峠を越えて斜面を登ると,道の雰囲気が一変しました。なだらかな傾斜の中をゆく木道,そう,五色ヶ原に入りました!
あたりは霧で真っ白ですが・・・

 室堂平から5時間弱で五色ヶ原にある山荘に到着しました。小屋でのんびりしていると一時的に霧が晴れてきました。ようやく五色ヶ原の広さを実感できました。
山の上とは思えない広々とした空間です!

 小屋の周辺を散策すると,高山植物のチングルマの穂がキラキラと光りながらゆれていました。

 翌朝午前5時前の東の空です。少しずつ夜が明けてきました。9月なのにこの時間でもそんなに寒くありません。

 午前5時半頃,日の出を迎えました。五色ヶ原の高山植物に朝日が当たって本当にきれいでした。

 南を見ると,どっしりと構えた赤牛岳と,後方にちょこんと顔を出す槍ヶ岳が見えました。赤牛岳もちょっとマイナーな山ですが,黒部ダムから上流方向によく見えるので,実は見ている人の多い山の一つかもしれません。

 名残惜しくも五色ヶ原を後にして,再び室堂平に戻ります。ザラ峠を越えて振り返ると,五色ヶ原のなだらかな地形がよくわかりました。

 その後すぐに霧にまかれて視界が遮られたのですが,こんな時に登場するのがライチョウです。3羽写っていますが右が母親,左の2羽がその子どもです。母親と変わらないくらいに成長していますね。

 こんなわけで天候には必ずしも恵まれたわけではありませんが,気持ちのよう山登りができました。

 ただ一つ気がかりなのは,五色ヶ原山荘のスタッフの方とお話をしているときに,いつもなら水がふんだんに得られるのに,今年は気温が高すぎて雪が完全に溶けてしまい,水不足になってしまったと聞いたことです。周辺の山,例えば先ほど出てきた赤牛岳も,いつもなら遅くまで雪が残っているのに,今年は全部消えてしまったそうです。温暖化の影響はここにも現れていて,これからどうなってしまうのか,本当に心配ですね。その名の通り,いつまでも美しい「五色ヶ原」であってほしいものです。