日本アルプスの大自然に触れたことを書いてきたこのシリーズ,今回が最終回です。
ちなみに今回の山登りは,私一人だけ,つまり単独行です。でも決してさみしいわけでもなく,小屋に泊まって食事でたまたま隣に座った人など,すぐに仲良くなれるものです。2日目に泊まった槍ヶ岳山荘では,夕食後談話室で消灯(と言っても20:30!ですが)まで,ここで初めてお会いした方々と楽しく山の話に花を咲かせました。このような出会いがあるのも山の良さだと思います。
さて3日目,予報よりも天候の崩れが早く,朝6時前の出発時点で,すでに霧の中になってしまいました。気温も低く少し着込んでの出発です。
目の前の槍の穂先すら見えません!
槍沢(やりさわ)という谷をどんどん下っていきます。少し歩くと雲の下に出ました。視界が急にクリアになるのが面白いですね。さらに下って振り返ったのが下の写真です。上の方に雲があるのが見えます。
ところでここは,ご覧の通り森林限界(北アルプスでは標高約2500m)よりも上なのですが,にもかかわらず谷がずいぶん広いと思いませんか? 普通なら,上流ほど谷は険しく,下流ほど緩やかになるものですが・・・
なぜでしょうか? それは,真ん中のスプーンですくったような地形にヒントがあります。地球が寒冷だった時代, ここには氷河があったのです。降り積もった雪が氷となって岩を削りながら下り,このようなU字の広い谷を作ったのです。すごいですよね!
前方を見れば,少し明るくなった空を背景に,1日目に登頂したピラミッド型の常念岳に,2日目に登頂した手前の台形の山,赤沢山が重なっていました。これらの山の登頂を果たした達成感に満たされます。
さらに下って振り返ると,残念ながら槍の穂先は雲に隠れたままだったものの,木々の紅葉が目の覚めるような風景を作り出していました。まさに錦秋です。
このように北アルプスの紅葉が見ごろだったからか,紅葉の名所「涸沢(からさわ)カール」からの道が合流する横尾という地点では,人がごった返していました (◎_◎;)。平日(月曜日)でこれですよ! しかもこの頃には雨も降りだし,翌日も雨が続くという予報だったのにです。晴れた週末だったらものすごいことになっていたでしょうね。
すごい人なので足早に通過しました(苦笑)
槍ヶ岳山荘を6時前に出て,途中ゆっくり食事をしたり,名物のソフトクリームを食べたり,お風呂に浸かったりして,有名な上高地の河童橋に着いたのは14:30過ぎ。穂高連峰の眺めは雲の中でした。
河童橋あたりの眺めもご覧の通り
最終日に天気が崩れてしまったのは残念ですが,それでも今回,草や木や鳥や地形などを見て楽しみ,いくつもの頂点からの雄大な景色に感銘を受け,同じく自然が好きな人たちと楽しく会話し,たった3日間とはいえ充実した山登りとなりました。自然の中にどっぷりつかることのすばらしさを改めて感じた3日間でした。
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