みなさまこんにちは,よしだです。
昨日通称「新湿地」で落ち葉などの除去作業をしたのですが,作業に入る前,森を伐採した何もないところにいろいろな植物の芽生えがあって,皆で観察をしていました。一番の注目はカエデ(いわゆる「もみじ」)の芽生えだったのですが,そのすぐ近くに5cmほどの小さなキノコが生えていることに気がつきました。その時は見つけた私を含め誰も写真すら撮らず,「変なところに生えてるな」くらいで,特に気に留めることはありませんでした。
ところが・・・
今朝,樹木のことを調べようとネットを見ていたら,たまたま冬虫夏草のことが書いてあり,その写真にピンときたのです。
きのうのキノコに似てる!
作業後の様子の確認も兼ねて,雨が上がった午後,新湿地に行ってきました。すでに十分な量の湧き水が供給され,少し深く掘り返したところは池のような状態にまでなっていました。
場所の記憶を頼りにキノコをさがしましたが,地味なものなのでしばらくウロウロ(苦笑)。思ったほど簡単には見つかりませんでした。
左のアベマキのどんぐりと比べても大きさがわかると思いますが,地上に出ていたのはこれだけ。
いざ掘り返してみると,植物の根だけでなく,昔この付近にあったという大学の学生寮の瓦などのがれきも出てきたり,想定外の深さで,これまた一苦労(汗)。でも何とか掘り出せたときは,心の中でガッツポーズ!
ご覧下さい。
セミの幼虫(左)からキノコが生えているのです!
そう,予想通りこれは冬虫夏草でした。冬に虫だったのが,夏には草になるというのがその語源なのですが,もちろん虫が植物に変化するわけではなく,虫に寄生(感染)する菌がキノコを作っているのです。
普通キノコと言えば植物と共生して,あるいは植物を分解して出てくるものですが,虫に取りつくものはごくわずか。しかも調べてみると,どの虫に感染するかは菌の種類によって違うのだそう。つまり,菌は相手を見分けているのですよ! 自然のしくみは不思議ですね!
この虫はアブラゼミの幼虫のようなので,オオセミタケだと思います。冬虫夏草は生薬としてもよく知られているので,KSCメンバーで生薬がご専門の永津先生に標本として提供しました。本物を見てみたい方は永津先生をお訪ねください。
すばらしい。よく発見できましたね。早速永津先生を訪問します。
返信削除コメントありがとうございます。何もないところになぜキノコが出てるの? と疑問に思い,印象に残ったのが良かったようです。あまりお目にかかれないものなので,ぜひご覧ください。
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