7月に入りましたが,梅雨空が続いていますね。
少し前のことになりますが,長久手市内にある湿地の保全作業に参加させていただいた時のことを今回は書きたいと思います。
湿地はその名の通り,水があってこそ「湿地」となるわけですが,周辺から土砂が流入して埋めてしまったり,逆に湿地の中の土砂が流されて小さな川ができ,水が全体に行き渡らなくなったりすると,乾燥化して湿地という環境が失われてしまいます。ここの湿地では後者が問題となっていて,対応策としてその小さな川に石を積んで埋めることになりました。
小さな川,と書きましたが,専門的には「リル」と呼ぶようです。どうしたことか私はこの時,埋める前の写真を撮り忘れてしまい,「リル」だった状態をお伝えすることができません。なので代わりに,山登りをした時に撮った写真でイメージをつかんでいただこうと思います。
急に壮大な写真が出てきましたが(笑),ここは南アルプスの蝙蝠岳(こうもりだけ,2,865m)という山の近くの稜線上です。写真中央から左下にかけて,亀裂のように溝ができているのがわかると思います。これが「リル」です。溝の深さは20-30cmくらいだったと思います。小さな溝でも,降った雨がここを流れ続けることで土砂が削られて浸食が進み,これからどんどん谷が深くなっていくことでしょう。
登山道は左上から右下に続くのに
リルに目が行って左下に誤って進んでしまい,
危ない思いをした場所です (>_<)
石を積むと言っても,それなりの量を外部から持ち込むのは大変ですから,湿地のすぐ下を流れる小川で採取しました。こぶし大の大きめの石と,砂に近いような小さいものを,バケツを分けて回収します。 大きい石,小さい石を交互にリルに投入します。
充実のマンパワーです!
ほぼ埋まってきました
それなりに斜度のある湿地のリルに,石を積んだだけで大丈夫でしょうか? 簡単に崩れたりしないでしょうか? 実はよくわかりません。なにせ初めてのことですから,やってみないとわからないのです。経過観察を続けて,どれくらい効果があるのかこれから確かめていくのです。
完成です
ここに溝があったとは思えないような
仕上がりです
この方法,実にシンプルですが,うまくいけば湿地保全のとても良い事例になると思います。というのも,大学の隣の八竜湿地でも大雨による大量出水でリルができてしまい,水がそこを流れ下ってしまうので,湿地全体に水が行き渡らないという全く同じ問題が起きています。おそらくこの問題は他の湿地でもあると思います。その問題の答えがこの湿地から出せるのかどうか,とても興味深いですね。
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