今年は8月下旬以降長雨がいつもよりも続き,台風が直撃したりと,この地域で大きな災害こそなかったものの雨が多かった印象があります。
私の研究で,雨の量と直接関係してくるのが湿地の水量測定です。先週のある晴れた日,久しぶりに八竜湿地に設けてある流量測定装置の確認に行きました。装置の異常がないかのチェックのほか,装置に保存されているデータの回収のためのパソコンや,さらには装置付近の泥さらいのための大きなシャベルも持って湿地へ向かいます(大荷物です!)。
現場に行ってみると,台風による風の影響でしょうか,装置のすぐ近くで傾いていたアカマツが倒れていました。
写真を見るとぎりぎりセーフ,冷や汗が出そうな感じですが,
実は想定内
だったりします。このマツには,装置設置当時「ヒトクチタケ」というきのこがついていました。ヒトクチタケは枯れかけのマツに発生する,ということをトヨタの森のスタッフの方から教えていただいていたので(ありがとうございます!),早々に枯れることはわかっていました。
また,枯れればいつかは倒れるはずですが,他の木の位置関係から,倒れても装置を壊すことはない,と予想もしていました。なので,この倒れ方はある意味で予定通りなのです (^_^;)
一方,装置自体には枯れ枝が何本も引っかかっていました。水量が多くなった後はどうしてもこうなってしまうので,その都度除去するしかありません。
装置上流側の泥さらいをしていたら,大きなトンボが行ったり来たりし始めました。オニヤンマです。どうやらメスを数匹のオスが追っかけていたようで,やがて装置の下流側で産卵行動が見られました。
さて,装置に記録された8月下旬からのデータを見ると,9月9日(水)の夜中から急上昇し,午前8時頃に水位が瞬間的に最大値を示し,その後水位は9月17日の降雨までゆっくりと下がっていることがわかりました。
9月9日は台風18号が接近し,午前10時頃知多半島に上陸,そのまま愛知県内を北上していきました。この台風に伴う大雨で,翌日茨城県常総市で,さらにその翌日には宮城県大崎市でそれぞれ堤防が決壊し,大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところです。
このように台風が最接近した時ではなく,それより前の9日の朝方にこの周辺で強い降雨があって,湿地の水位は急上昇していたのです。台風本体から離れたところで大災害が発生していることからもわかるように,雨の強さは台風上陸の場所・時間と必ずしも一致しないことを,湿地のデータからも改めて認識させられました。
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