2020年10月5日月曜日

豊田市であいち自然再生カレッジ

  みなさまこんにちは,よしだです。

 10月3日(土曜日),金城も加盟している東部丘陵生態系ネットワーク協議会の主催する「あいち自然再生カレッジ」が開催されました。場所は豊田市にある愛知県緑化センターとそれに隣接する昭和の森です。

 今回講師としてお招きしたのは,名古屋大学大学院生命農学研究科の戸丸先生。先生は遺伝子解析の手法を樹木や森林に応用した研究をされており,その成果の一つであるシデコブシとコブシの交雑問題について講演していただきました。

 シデコブシは東海地方の湧水湿地に生育する固有種ですが,シデコブシに近縁のコブシはもともと東海地方には分布していませんでした。しかし,花がきれいといった理由で庭木や街路樹などとして人為的にこの地方に植栽された結果,シデコブシとの交雑種が生まれ,いわゆる遺伝子汚染の問題が発生している,というのが今回のお話の概要です。これも一つの外来種問題と言えるもので,生物多様性を考えるうえで重要なテーマです。


 遺伝子解析など専門的なお話でしたが,時間をかけて補足的な説明を加えながら,わかりやすくお話をしていただきました。
 座学のあとは昭和の森へ移動します。私はこの緑化センターに初めて来たのですが,敷地も広く,建物も立派でびっくりしました。

 とはいえ,森に入ればそこは自然の世界。このあたりもイノシシが生息しているようで,イノシシよけの柵がありました。イノシシやシカなどの分布拡大やそれに伴う獣害もまた,生物多様性においては頭の痛い問題です。

 昭和の森まで移動し,戸丸先生の解説を聞きます。森の中をよく見ると,シデコブシとコブシの雑種とみられる個体がいくつも見つかりました。

 昭和の森の中にある湿地も見学しました。本来シデコブシはこのような湿地の周辺に生育することが多く,実際ここにもシデコブシはあるのですが,個体数が少ないことや,他のシデコブシ群落と完全に孤立してしまっていることから,コブシとの交雑問題が仮になかったとしても,ここのシデコブシの群落を維持するのは難しいとのこと。自然を守るということは,そうそう簡単な問題ではないことを改めて知ることができました。
 

 さて,今回のカレッジでも多くの方に参加していただき,この問題について理解を深めていただけたのではないかと思います。多数ご参加いただき,ありがとうございました。また,ご講演いただいた戸丸先生,運営に関わっていただいたスタッフのみなさまにも感謝申し上げます。

 

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