きょう2月3日は節分。豆まきをして,玄関には魔除けにひいらぎとイワシの頭を飾るのが伝統的な風習ですね。恵方巻きを食べるイベントもありますが,もともとは関西地方の習慣であり,少なくとも名古屋ではごく最近になってから (ここ10年くらいで?) 定着したもののように思えます。
さて,そのひいらぎ。一口にひいらぎと言っても,いくつもの種が混同されていることは意外に知られていません。まず「ご本家のひいらぎ」はこちら。日本の在来種で,「ヒイラギ」が正式な種の名前です。金城の里山にもちゃんと生えています。
見るからに痛そう・・・
鬼じゃなくても,この葉を近づけられたらたいていの人は逃げるでしょう。森の中で知らずに触ってしまって,
「ぎゃ~っ」
なんていうことも(苦笑)。
在来種のヒイラギはモクセイ科モクセイ属の分類で,同じ仲間には,秋に甘い花の香りを漂わせるキンモクセイ(金木犀)があります。葉のつき方をよく見てほしいのですが,枝のほぼ同じところから左右に2枚の葉が出てますね。これを「対生」といいます。
ヒイラギかな?と思ったら,これを思い出すとよいでしょう。
さてうまい具合に上のヒイラギのすぐ横に,こんな植物が生えていました。ヒイラギほどとがっていませんが,とげとげの葉をしています。。
これは「ヒイラギナンテン」という植物で,園芸用として導入されたものが野生化して,金城の里山でも見ることができます。その名の通り,お正月に赤い実のついた枝を飾るあの「ナンテン」の仲間です。ナンテンの仲間だけれど,葉にとげがあってヒイラギのようだ,というのが名の由来。これの葉をよく見てみましょう。
なるほど,これも葉は対生ですね,と言いたいところですが,
違います!(笑)
この場合,左右方向の枝についている9枚の葉全体で1枚の大きな葉とみなします。なのでこの9枚の葉は「小葉」といって,いわばパーツのようなもの。専門的には「羽状複葉(うじょうふくよう)」と言います。
そう思ってもう一度3枚目の写真に戻ると,大きな葉っぱを数枚付けた植物,に見えませんか? 見えますよね??? 一方,1枚目のヒイラギの写真ではそうには見えません。葉っぱは1枚ずつ独立していますよね。
ところで「ひいらぎ」と言えば,クリスマスの讃美歌に
ひいらぎかざろう
セイヨウヒイラギは枝に対して左右の葉が交互についていることで日本のヒイラギと区別できます。これを「互生(ごせい)」と言います。写真で説明したいところですが,さすがにセイヨウヒイラギは金城の里山には生えていません。なのでセイヨウヒイラギと親戚関係にあるソヨゴという植物の写真を見ていただきましょう。 互生の意味がよくわかると思います。
葉の形はぺらぺらですが
(苦笑)
とげのある植物は,葉を動物に食べられないようにする防御手段として進化したものです。それぞれの植物が独自に進化したら,結果としてよく似てしまった,というよい一例です。金城の里山では,葉を食べる動物なんていないのですが,それでもしっかりと葉をとがらせていることに,一種のけなげさを感じます。
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