前回に引き続いて,この週末に宇都宮大学で開催された「大学間里山交流会」について報告します。今回は2日目(7日,日曜日)のエクスカーション(見学会)の様子です。
この日は宇都宮から東に向かって車で一時間程のところにある茂木町(もてぎまち)を訪問しました。茂木町は茨城県水戸市で太平洋にそそぐ那珂川(なかがわ)の中流域にあり,宇都宮大学との連携で里山の再生を進めている町です。ちょうど稲刈りが終わった頃で,田んぼでは稲を干すはざ架けや稲わら干しがなされていたり,道路には栗が落ちていたりと,秋らしい景色が広がっていました。
↑ 干された稲わらが人形のようですね
道中,道端に動物の死がいを見つけました。タヌキに似ていますが,イタチの仲間の「アナグマ」です。その名の通り穴を掘って生活する動物ですが,道に出てきた時に車にはねられてしまったのでしょうか。
私は本物のアナグマを見るのが初めてだったのですが,みなさんも興味津々のようでした。ちなみにこのアナグマ,回収されてはく製にされることになりました。
最初に訪問したのが,那珂川の流れを部分的にせき止めて上流から流れてきたアユなどの魚を捕まえる「やな」です。宇都宮大学の飯郷先生によれば,ここで捕獲されるアユの9割が天然物であることや,そろそろサケの遡上が始まっているとのこと。アユは日本のほぼ北限,サケはほぼ南限にあたるそうで,自然の恵みが豊かな川ですね。見学の時もウグイ,外来種のコクチバスのほか,アユが1匹かかりました。
↑ やなもそこに行く橋もすべて木や竹で作ってあります
次に訪れたのが,茂木町でたい肥を作っている「美土里館」(みどりかん)という施設です。町から出る生ごみ,間伐材,竹,もみ殻,森林の落ち葉,牛ふんといった生物資源(バイオマス)がここに集められ,自然の発酵作用でたい肥がつくられています。そのたい肥をまた町内の農家で使うことで,循環型の社会が築かれるというたいへんよくできた仕組みができています。
↑ できあがったたい肥の山です。臭いは全くありません!
続いて町内にある「そばの里まぎの」で,大変おいしいおそばをいただきながら,古口町長さんと話し合いとなりました。茂木町を,足元の里山を活性化させるために大変に熱心に,強い意志で施策を進められていることを感じました。いま茂木町で大きな課題となっているもののひとつは「獣害」(イノシシなどによる農業被害)だそうで,いかにその個体数を減らすか,捕獲個体を売れるようにするのか苦心されているようでした。
↑ 中央が熱く語る古口町長さんです
午後は日本の棚田百選にも選ばれた「石畑の棚田」を見学しました。かなり規模の大きな棚田で,付近には耕作放棄地も見られる中にあって,手入れが行き届いている様子がうかがえました。土手にはヒガンバナが咲き乱れ,まさに色を添えていました。
このように充実した2日間を過ごしたのですが,最後に次回(来年)の開催地について京都女子大の高桑先生から「名古屋でどうか」との提案があり,了承されました。言うまでもなく金城が開催校(の一つ)になるということです。主催者として準備が大変ではありますが,金城での里山の取組みを多くの大学の先生方・学生さんに実際に見ていただくとてもよい機会を与えてくださいました。
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