信州大学農学部の福山先生による研究フィールドのご案内,その2回目です。
2回目は伊那谷の西側,中央アルプスのふもとを見て回るのですが,出かける前に信大農学部の風景をご覧いただきましょう。このキャンパスは標高 770 m の高地にあり,面積は金城の2倍もあるのですが,すべてが森の中といっていいくらい。学内を東西に貫く道は,ご覧のようにどこまでも続くような美しいカラマツの並木道となっています。
ほんとにすてきなキャンパスなのです
(*'▽')
さて見学です。
信大農学部からすこし標高を下げたところに水路があります。これは昭和初期に,天竜川の水源である諏訪湖から,天竜川に沿って開削されたもので,長さ 25 km もありながら標高差はたったの4 m しかありません。この水路のおかげで,天竜川から標高の高い地域でも稲作ができるようになり,地域の農業を大きく変えた土木構造物です。
農学部から南へ20 km ほど走り,飯島町(いいじままち)にある与田切川(よたぎりがわ)の上流部にやってきました。ここにある土木構造物は大きな砂防ダムです。
中央アルプスから流れ出る与田切川は,特に土砂が流れやすい流域で,災害を防ぐためにこのような砂防ダムが作られているのですが,福山先生もこの上流部で土砂流出の研究をされているのです。
なぜ土砂が流れやすいのでしょうか? その原因一つが川の源流部にあります。下の写真は中央アルプスの南駒ケ岳(みなみこまがたけ,左)と赤梛岳(あかなぎだけ,右)を撮ったものです。二つの山の真ん中に雪がたくさん残る,スプーンですくったような地形が見えますね。ここは氷河期に氷河があった「カール地形」なのですが,その手前が大きく崩壊しているがお分かりでしょうか。この大崩壊地が与田切川の源流の一つなのです。
福山先生によると,大雨はもちろんで,冬の斜面の凍結と融解の繰り返しも山を崩す大きな要因になるのだそうです。それを定量的に把握するのも福山先生の大きな研究テーマです。
上の写真で大崩壊地と言われてもピンと来ない人もいるかもしれませんね。ではその場所を上から見てみましょう。2013年にカールの一番上の稜線から撮った大崩壊地です。左に山小屋が見えるので,崩壊地の大きさがどれくらいかお分かりかと思いますが,これでも「ほんの一部」でしかないのです(◎_◎;)
この小屋はまだ利用できますが
かなりギリギリです (>_<)
私の研究テーマである「湿地の保全」に比べると,福山先生はとてもスケールの大きな自然を相手に研究されているのですが,その調査や評価の手法は,私の研究と共通する部分や,将来私の研究に応用できそうなものもあり,たいへんに参考になりました。
最後になりましたが,案内をしていただいた福山先生に感謝します。ありがとうございました!
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