みなさまこんにちは,よしだです。
里山ではないですし,少し前のことになりますが,私が北アルプスの五色ヶ原に行った時のことを今回書こうと思います。
五色ヶ原と言ってもご存じない方のほうが多いと思いますが,立山黒部アルペンルートの結節点の一つ,富山県の室堂平(むろどうだいら)から直線距離で5 kmほど南にある,その名の通りなだらかな場所が五色ヶ原です。標高2,500 mほどの高山帯なのに平らに近い地形というのはとても不思議ですが,むかしむかし近くにあった火山から流出した溶岩でこの地形ができたそうです。
今回は富山駅から電車・ケーブルカー・バスを乗り継いで室堂平に入り,そこから歩いて五色ヶ原に向かいました。時刻はまだ朝9時前ですが,室堂平から見る立山連峰にはすでに雲がかかってきました。
青空も見えていますが,雲がだんだん下りてきました。
室堂平から五色ヶ原までは決してまっすぐな道ではなく,山を超え,谷を越えの繰り返しです。縦走路からすこしそれるものの,標高2,872 mの龍王岳という山にも登りました。マイナーな山ですが,これでも日本で38位の高さがあり,名前に「龍」「竜」「辰」のつく山としては日本一の高さなんですよ!
私にとって2回目の登頂ですが,今回もまた景色はいま一つでした・・・
さらに鬼岳・獅子岳という山を越えると,今日一番の難所,ザラ峠へ300 mもの標高差を一気に下ることになります。下りの方が事故や遭難が起きやすいので,ここは慎重に足を運びます。ザラ峠と言えば,戦国武将の佐々成政が冬にこの峠を越えた「さらさら越え」の伝説で有名ですが,無雪期でも容易には超えられそうにない感じがします。
分かりづらいですが,上から峠を見下ろしています。
これから急な斜面を少しずつ下っていきます。
ザラ峠を越えて斜面を登ると,道の雰囲気が一変しました。なだらかな傾斜の中をゆく木道,そう,五色ヶ原に入りました!
あたりは霧で真っ白ですが・・・
室堂平から5時間弱で五色ヶ原にある山荘に到着しました。小屋でのんびりしていると一時的に霧が晴れてきました。ようやく五色ヶ原の広さを実感できました。
山の上とは思えない広々とした空間です!
小屋の周辺を散策すると,高山植物のチングルマの穂がキラキラと光りながらゆれていました。
翌朝午前5時前の東の空です。少しずつ夜が明けてきました。9月なのにこの時間でもそんなに寒くありません。
午前5時半頃,日の出を迎えました。五色ヶ原の高山植物に朝日が当たって本当にきれいでした。
南を見ると,どっしりと構えた赤牛岳と,後方にちょこんと顔を出す槍ヶ岳が見えました。赤牛岳もちょっとマイナーな山ですが,黒部ダムから上流方向によく見えるので,実は見ている人の多い山の一つかもしれません。
名残惜しくも五色ヶ原を後にして,再び室堂平に戻ります。ザラ峠を越えて振り返ると,五色ヶ原のなだらかな地形がよくわかりました。
その後すぐに霧にまかれて視界が遮られたのですが,こんな時に登場するのがライチョウです。3羽写っていますが右が母親,左の2羽がその子どもです。母親と変わらないくらいに成長していますね。
こんなわけで天候には必ずしも恵まれたわけではありませんが,気持ちのよう山登りができました。
ただ一つ気がかりなのは,五色ヶ原山荘のスタッフの方とお話をしているときに,いつもなら水がふんだんに得られるのに,今年は気温が高すぎて雪が完全に溶けてしまい,水不足になってしまったと聞いたことです。周辺の山,例えば先ほど出てきた赤牛岳も,いつもなら遅くまで雪が残っているのに,今年は全部消えてしまったそうです。温暖化の影響はここにも現れていて,これからどうなってしまうのか,本当に心配ですね。その名の通り,いつまでも美しい「五色ヶ原」であってほしいものです。