2013年10月4日金曜日

動かざること山の如し,というけれど・・・(2)

 みなさまこんにちは,よしだです。

 前回は山が自然の力で大規模に崩壊していく様子を見ていただきました。しかしながら,山を動かしているのはそれだけではありません。意外な感じもしますが,人間の足もそうです。

 下の写真をご覧ください。前回紹介した崩壊地とは別の場所で,ハイマツ帯の中に一本の道,いわゆる登山道ができています。人が多く歩いたことで,土壌がむき出しになってしまいました。
これをきっかけにして,雨が土に直接当たること,雨の量が多いとここを水が流れること,そしてさらに人が歩くことなどで,どんどん土が流されて浸食されていきます。これを「登山道浸食」というのだそうです。福山先生のお話では,特に坂道では,人はどうしても踏ん張ろうとするので,平坦よりも地面にかかる力が大きく,より浸食しやすいとのことでした。

 こちらの写真は,以前登山道だったと思われる地点です。階段だった木の棒をよりも土が深くえぐれてしまった様子がわかると思います。
 人が歩くことで山に亀裂が入り,その亀裂が雨の作用で深くえぐられ,やがて山自体をくずす崩壊につながっていくかもしれません。
 
 今年,富士山が世界文化遺産に登録され,多くの登山者が集まりました。そして入山料徴収が試行されましたね。登山道の維持管理や,このような人為的な原因による崩壊に対する対策などを進めていくならば,登山者自身から一定のお金を徴収するのはむしろ当然なことではないか,と私は思うのです。
 


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